クックパッドは企業統治の選択を誤っていた

「強行突破」の行動に出た大株主の創業者

「会社は誰のものか」と問われれば、法律的な観点から言えば、所有者たる株主のものと言える。佐野氏はクックパッドの創業者であり、全体の43.6%を所有する大株主だ。特別決議事項に対する拒否権はもちろん、普通決議に必要な、過半数の議決権を容易に取れる持株比率であり、実質的に意のままに会社を動かせる立場である。

創業オーナーである佐野氏が株主総会で多数の賛成を得て、株主総会が新たな取締役を選任し、新しい取締役会が岩田氏を代表執行役に選任することは、大まかにいえば会社法上の基本的なルールに従ったもの。法律に反することはない。しかし、藤野氏は、「企業統治は、少数株主の信頼、顧客の信頼、従業員の信頼の3つの信頼によって支えられている。今回の佐野氏の行動は、少数株主から見ると乱暴だったという印象は否定できない」と話す。

特別委員会の判断は佐野氏の考えに「No」

指名委員会等設置会社では、取締役候補の人選、業務執行の監査、取締役・執行役の報酬の決定を、比較的中立な立場である社外取締役が過半数を占める「委員会」で決定する。これにより、取締役間の上下関係や、大株主の意向に束縛されずに、取締役候補者も決まっていくことになる。中立性の高い企業統治が可能となり、投資家としては安心しておカネを投じることができるわけだ。

クックパッドでも、昨2015年10月30日、株主総会に提出する議案の内容を決定する指名委員会において、取締役候補者は内定していた。しかし、11月27日に開催された取締役会で、取締役・執行役でもある佐野氏は、当時の執行部による事業遂行が、会社の利益を損ねていると主張。これを受け、企業価値の最大化に資すること、及び少数株主の利益の正当な保護を目的として、クックパッドは5人の社外取締役から構成される特別委員会を設置した。

そして、外部の財務・法務アドバイザーを起用した上で、佐野氏の主張する事業計画案と、当時の執行部が推進する事業計画のどちらが適切かジャッジしたのだ。結局、特別委員会は、執行部の事業計画を推進することがクックパッドの企業価値の最大化及び少数株主の利益の正当な保護にかなう、とする「勧告書」を同社取締役会に提出。佐野氏の考えに明確に「NO」を突きつけたのである。

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