”自分が最後の砦”と思いなさい 正攻法も、参考事例もない世界で働くということ

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ベンチャーに向いていない人

転職活動で面接に来る大企業の社員のなかには、ベンチャーには合わないな、と思う人がいる。優秀でそれなりの肩書があっても、自分の培ってきたノウハウや方程式にこだわり、それをインターネット業界に当てはめようとする人は危ない。

ネット業界は変化が激しいので、1つの方程式が適合する可能性は低いし、たとえ正解にたどり着いたとしても、ものの数カ月で変わってしまう。1つのことで勝負しようという観点では、途端に陳腐化してしまう。

もう1つのうまくいかない典型は、面接で入社後の自分のポジションや部下の数を聞いてくる人である。いわゆる大手の会社に転職するならそれは大事なポイントかもしれないが、ベンチャーは動きが速く、新しい事業がどんどん起こっていくから、組織改編も激しい。給与と肩書は連動しない。

私も営業のマネジャーだったときは10人ほどの部下がいた。その後、新規事業の立案を担当したときは肩書が全部外れて部下がいなくなった。でも給料は上がった。1つの事業を任されて軌道に乗せたら、またほかのところに行って部下ゼロから事業を立ち上げる。その繰り返しなのである。

組織が硬直化すると、柔軟に新規事業を起こせなくなる。セクショナリズムが発生し、誰々に引っ張ってもらったというように派閥が生まれる。ベンチャーはそんなことを言っている暇がないくらい組織や事業の改編が激しい。

自分のキャリアを考えるとき、社内での価値ではなく、市場での価値を上げられるか、という観点を持つべきだと思う。社内政治にいくら長けていても、その会社が潰れたら終わり。他社では何の意味も持たない。それより自分がどんな経験をするか、どんなノウハウを身に付けられるかのほうがはるかに重要である。

市場での自分の価値を上げるとき、スペシャリストとして1つのことを突き詰めていく方向もあるし、ゼネラリストとして守備範囲を広くする方向もある。ただ、どちらもそう簡単ではない。スペシャリストは日本有数、世界有数というぐらいの一点突破感が求められる。

ゼネラリストもいろいろな分野をかじったぐらいでは駄目で、それぞれの領域で何が大事にされ、どういう世界観なのかをしっかり理解した上で、それらをつなぎ、異能の人たちを率いて何かを生み出す手腕が問われる。

いずれもイバラの道ではあるが、どちらを意識して自分のキャリアを作るのか、早い段階で自分のなかにイメージを持っておくことが大事だと思う。

(構成:仲宇佐 ゆり、撮影:今井 康一)

 

 


 

 

 

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