”自分が最後の砦”と思いなさい

正攻法も、参考事例もない世界で働くということ

ベンチャーに向いている人

同期入社が何千人もいるような大企業には出世競争がある。そして何歳までにこのポジションに就きたいと考えてしまうと、なかなか失敗ができない。一方ベンチャーでは、失敗はそれほどネガティブ評価されない。

逆に、リスクを恐れずに積極的にチャンスを取りにいく力、自分が責任を取ってもやるという強い意志、最後までやり切るというコミット力が求められる。

ベンチャーで働くということは、勝ちパターンの固まっていない世界で働くということだ。正攻法も正解も参考事例もない。誰もが失敗をしながら成功を勝ち取っていく。うまくいかないのは織り込み済みで、その上でいろいろな仮説を立て、トライ&エラーを繰り返しながらビジネスを回しているのだ。

もちろん、失敗をすれば、それなりに会社は損失を被る。当事者には責任が発生する。しかし「失敗したら、どう責任を取ろうか」という考え方は、ベンチャーにはそぐわない。

以前、子会社の社長が売り上げ目標を達成できず、経営陣に責任の取り方を尋ねたことがあった。当時の南場の答えは「責任なんて取れると思うな」だった。今から本気で取り返せ、ということである。

責任を取って辞めれば、あとは誰かがやってくれる。ベンチャーは、そんな甘い世界ではない。「自分が何とかしないと会社が潰れる」「自分が何かしなかったらこのサービスは終わる」「あのクライアントを獲得できなければ黒字にならない」というような、“自分が最後の砦"感が常にある。そういう環境が嫌な人はベンチャーには向いていない。

大企業では若いうちはここまでは求められないから、まずはしっかり下積みをして、40歳ぐらいになってから交渉の矢面に立つといった時間感覚が心地いい人は、大企業のほうが向いている。両者の違いが如実に表れるのが、事業提携、ジョイントベンチャーなどで大企業の人と一緒に会議をするときである。自分のカウンターパートは一回りぐらい年上の人であることが多い。

私は27歳でDeNAに入り、28歳で1つのプロジェクトを任されたが、そのときのカウンターパートは30代後半から40代の人だった。先方の企業の、自分と同世代の若い人は、会議室の隅で何も発言させてもらえずに議事録を取っていた。早く経験を積んで早く成長したい人にとっては、ベンチャーは最適な環境だと思う。

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