東京オリンピック「裏金疑惑」の深すぎる闇 腐敗根絶に日本は協力する気があるのか
しかし、ブラック・タイディングス社は、本当にそれだけ華々しい実績を持っているのだろうか。シンガポールでの同社の所在地は簡素なアパートで看板もない。欧米のメディアは同社を「ペーパーカンパニー」と報じている。
果たしてペーパーカンパニーなのか。それとも実態を伴ったコンサルティング会社なのか。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の竹田恒和元理事長と樋口修資元事務局長は5月13日に声明を出し、「支払いはMR. TANの会社から受けたサービスに対するコンサルタント料で、新日本有限責任監査法人等により正式に監査を受けた」とし、「正式な業務契約に基づく対価として支払いを行った」「彼らは、アジア中東の情報分析のエキスパートであり、その分野におけるサービスを受け取っている。契約に基づく業務に対する対価の支払いであり、なんら疑惑をもたれる支払いではない」と断言した。
だが民進党の「調査チーム」に出席したJOCの関係者は、玉木座長や山井和則座長代理などからの質問に対しては「守秘義務があり、弁護士から言うなと言われている」と説明を拒否。肝心のイアン・タン・トン・ハン氏に対する調査についても、「我々が接触すれば、隠ぺい工作をしていると批判される」と何もしていない状態だ。
サミットでは「腐敗対策」も大きなテーマだが…
振り返ると東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の予算は、実に豊富だった。2012年度には2億2770万円もの補助金等が入っており、寄付金は23億6653万円にも上る。2013年度には補助金等収入は6億8226万円で、寄付金は25億2445万円。合計58億円以上の補助金や寄付金があった。2016年大会の時のような招致失敗をどうしても避けたかったに違いない。その結果として、闇の部分にまで手を染めてしまったのだろうか。
今月26日と27日に伊勢志摩で開かれるG7サミットでは、主題議題とされる優先アジェンダの中に「腐敗対策」が含まれている。17日の「調査チーム」の会合では、外務省から担当者が出席して、「スポーツの腐敗について共同声明に附則として盛り込む予定だ」と説明した。
「日本で開かれるサミットでスポーツの腐敗について議論すれば、世界の笑われ者になる。我々はあなたがたを責めているわけではない。サミットの前にこれを解決すべく、協力してもらいたい」
山井氏がJOCの関係者にこう語りかけると、関係者は「お願いがある」と言い、涙声で「オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム」の名称を変更してくれるように求めた。だがここまでくれば、裏金ではないという証明責任は招致委員会を引き継いだJOC自身にあるといえる。
オリンピックの開催という栄光を得ようとして、とんでもない深い闇に足を突っ込むはめになったJOC。果たして無事にオリンピックは開催されるのだろうか。
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