東京オリンピック「裏金疑惑」の深すぎる闇 腐敗根絶に日本は協力する気があるのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今年1月14日に世界反ドーピング機関(WADA)が発表した国際陸連のドーピング問題に絡んだ大規模汚職疑惑に関する第2回調査報告書にはこう書かれている。

「ヒンディー語でブラック・タイディングスとは、『闇マーケティング』や『黒いカネの洗浄』という意味がある」――。同社の口座はロシア選手のドーピングの隠ぺいに絡む金銭のやりとりに使用されていたのだ。

なぜそのような、いかにも危ない社名の会社が、東京オリンピックの誘致に関わったのだろうか。

ブラック・タイディングス社を紹介したのは電通

5月16日に行われた衆院予算委員会で、民進党の玉木雄一郎衆院議員の質問に対し、馳浩文部科学相は次のように答弁している。

「オリンピック招致は2013年8月が山場だった。日本は(福島原発の)汚染水問題で厳しい状況にあった。招致委員会は最終的にコンサル会社に頼らざるを得なくなると判断し、電通に確認した。電通からブラック・タイディングス社が実績があるとして勧められ、招致員会が契約を判断した。しかしブラック・タイディングス社から請求された金額を一度に全額払うことはできず、2度に分けたと聞いている」

ブエノスアイレスで2020年夏季五輪開催地が東京と決まったのは、2013年9月7日(現地時間)だ。支払いを行ったのは2013年7月と10月。決定をまたいでいることから、2度に分かれている理由は「手付金と成果報酬」に見えなくもない。後述するが招致予算は豊富であり、「一度に全額払うことができず、2度に分けた」という弁明はいかにも苦しい。

前述の世界反ドーピング機関の報告書には、さらに詳しいことが記されている。

「トルコ(イスタンブール)はダイヤモンドリーグや国際陸連に400万ドルから500万ドルを支払わなかったため、ラミーヌ・ディアック氏の支持を得られず落選した。日本は支払ったので、東京開催を獲得した」

民進党は「オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム」を立ち上げ、疑惑を追及している

この報告書は、ブラック・タイディングス社のイアン・タン・トン・ハン氏についても触れている。「電通の関連会社である電通スポーツがスイスのルセーヌにアスレチック・マネジメント・アンド・サービス(以下AMS)というサービス会社を設立し、国際陸連による商業権利の売買や移管を目的としている。AMSはイアン・タン・トン・ハン氏を2015年の北京大会を含む国際陸連の世界選手権やその他の世界陸上でのコンサルタントとして雇っていた」。

5月17日に開かれた民進党の「オリンピック・パラリンピック招致裏金調査チーム」に提出された資料には、ブラック・タイディングス社の主たる業績として「2015年世界陸上北京大会の招致コンサルタント、マーケティング」「2008年北京オリンピックのホスピタリティサポート」「ボアオ・アジア・フォーラム」「2012年イスタンブール世界室内陸上競技大会」などが記されている。

つまり、ブラック・タイディングス社は、実に華々しい実績をあげていることになっているのだ。

次ページ実態はペーパーカンパニー?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事