藤原:日本の若者の失業率はどうなんだろう?
渡邉:若者でも8〜9%で2ケタには達していません。だから、日本は雇用に関してはすごく優等生。スペインも日本と同じように、"ファミリー福祉"なので、子どもを実家で食わせてしまって、外に追い出さない。だから、30歳ぐらいになっても、実家にたかって生きているような人も多い。
それなのにスペインの若年失業率が50%になるのは、カウントの仕方が違うんではないかと思うんですね。日本の統計はインチキくさい、という人は多い。たとえば、ニートが失業者に含まれないとか。
藤原:フリーターはどう?
渡邉:フリーターは、職を求めてなければ失業者にカウントされません。
藤原:マクドナルドだろうと、100円ショップだろうと、その辺の居酒屋だろうと、とにかく週3回でもバイトしていれば失業者じゃないわけでしょ。
渡邉:たぶん1回でもOKだと思います。だからやっぱり統計がインチキなんですね。
藤原:そうだよね。私の周りにも、そういう若者はいっぱいいるのね。和田中を卒業した生徒でもそうなんですよ。そうした若者は失業者に含まれていないと思うんです。
では、そういう若者たちは将来、食っていけるのか。
それを考えるときに、ポイントになるのは親世代の資産だと思う。65歳以上のたちは、合計で1500兆円ぐらいの資産を持っている。この人たちがほぼ住宅ローンを払い終わって、土地付きの一戸建てやマンションを保有していたら、子ども世代はそれを引き継げる。「今の若者は貧しい」とよく言われるけど、どこかで相続が起こるんですよ。
スポンサーは、おじいちゃん、おばあちゃん
渡邉:親が裕福であれば、家の心配はいらない。
藤原:そう。よく社会保障の議論で、昔は「胴上げ型(一人の高齢者を多くの現役世代で支える)」だったのが、今は「肩車型(一人の高齢者を一人の現役世代で支える)」になってしまっているという話があるけれど、あれはウソ。むしろ逆に、おじいちゃんとおばあちゃんが、2~3人の若者を養う社会になろうとしているんですよ。
渡邉:常識とは逆ですね。
藤原:実際、連休に手近なリゾートに行くじゃないですか。そこで周りを見渡すと、ほとんどが、おじいちゃんとおばあちゃんをスポンサーとした、小さな子連れの若い夫婦なんですよ。
渡邉:なるほど。スポンサーがついているんですね。
藤原:圧倒的にそういうケースが多い。具体的に言うと、小田原にヒルトン小田原リゾート&スパというホテルがある。前身は、スパウザ小田原という特殊法人が造った施設で、プールもミニゴルフもテニスコートもあってすごく大きい。宿泊料はとても高いので、若い夫婦はなかなか来れないはずなのに、子どもを連れたカップルとおじいちゃん、おばあちゃんばかり。こうした人たちが、あと20年ぐらいの間に、相続で財産を親から引き継ぐ。
渡邉:そうですね。一人っ子同士で結婚すると、家が1個余るぐらい資産家になってしまうという問題もありますからね。