羽田アクセスで国が本当に作りたい路線は?

お役所的な「特有の表現」で優先順位がわかる

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大江戸線延伸部の予定ルート上にある看板。光が丘駅から大泉学園町までの区間は「事業化に向けて(中略)費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき」との意見が付けられた

国交省によると、鉄道事業法の改正で鉄道事業の需給調整規定が廃止され、国がプロジェクトの進行を管理するための法的な根拠がなくなったなどとして「ランク付け」を行わなかったという。

家田委員長も4月7日の小委員会終了後、「紙の上での形式的なランク分けではなく、我々が各プロジェクトにどういうことを期待しているか、どういうことが課題であるかを(新答申で)明確にしたつもり」と述べた。

ただ、国や自治体の財政が思わしくない状況にあるなか、全24路線が新答申の目標年次である2030年頃までに開業、もしくは着手できるとは、到底思えない。実際は、24路線のうちいくつかをピックアップし、建設費の補助金を集中投下する形で優先的に整備することになるのではないだろうか。

実は、答申書に記された各プロジェクトに対する意見を読み込んでみると、交政審がどの路線を「優先度」の高い路線と考えているか、おぼろげながら見えてくる。

たとえば、羽田空港アクセス線は「事業化に向けて(中略)事業計画の検討の深度化を図るべき」としており、事業化を前提に「〜べき」という強い表現を使って、本格的な検討を求めている。一方、都心直結線は「事業性の見極めが行われることを期待」としており、事業化の是非に関する意見になっている。つまり、「〜べき」付きの路線は「優先度」の高い路線として考えられているフシがある。

「〜べき」が優先度の高い路線?

新答申に盛り込まれた大規模プロジェクトのうち、「〜べき」を用いた意見が付いている路線は少ない。「国際競争力の強化」8路線では、羽田空港アクセス線と新空港線(蒲蒲線)、東京8号線(有楽町線)分岐延伸部の3路線だけだ。しかも、羽田空港アクセス線の羽田空港国内線ターミナル〜国際線ターミナル間と、蒲蒲線の京急蒲田〜大鳥居間は、いずれも「〜べき」を用いた意見が付いておらず、各線内でも「優先度」の違いが感じられる。

一方、「地域の成長」16路線も「〜べき」を用いた意見が付けられたのは3路線しかなく、各線内で「〜べき」付きの意見がある区間と、ない区間に分かれている。「〜べき」付きの意見があるのは、東京12号線(大江戸線)延伸部の光が丘〜大泉学園町間、多摩都市モノレール延伸部の上北台〜箱根ヶ崎間と多摩センター〜町田間、横浜3号線(ブルーライン)延伸部のあざみ野〜新百合ヶ丘間だけだ。

おそらくは、「〜べき」付きの計6路線が事実上の優先整備路線として扱われると思うが、現実には6路線だけでも建設費は膨大なものとなり、早期の事業化が図られる路線は、さらに絞り込まれるだろう。いずれにせよ、新規の大規模プロジェクトに夢を見る時代は、とうの昔に過ぎ去ったことを理解す「べき」かもしれない。

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