羽田アクセスで国が本当に作りたい路線は?

お役所的な「特有の表現」で優先順位がわかる

具体的には、遅延に関する「適切な指標」を設定した上で、遅延の現状と改善の状況を分かりやすくすることが重要であるとした。国に対しては、遅延の発生状況を毎年公表して推移を確認できるようにすること、鉄道事業者に対しては、運行実績データの詳細な分析や他の鉄道事業者との比較を行うことで対策を講じるよう求めている。

このほか、利用者との「協働」にも言及。日々発生している小規模な遅延は「混雑やドア挟み、線路への落とし物等に起因するものであり、これらは鉄道利用者の行動によって改善できる」とし、キャンペーンの実施などで「利用者の主体的な行動」を促すことが重要であるとした。利用者については答申書の「むすび」でも触れられており、「例えば『ながらスマホ』をやめるといったことや、障害者、外国人等への声かけ等、鉄道利用者のちょっとした気遣いだけで、都市鉄道の質は格段に向上する」と述べている。

端的にいえば、国や自治体、鉄道事業者だけでなく、鉄道の利用者にもマナーの改善などを求める内容となっており、そのための理解と協力を得るためにも「見える化」が必要というわけだ。過去の答申では、利用者の「あり方」にまで言及したことはなかったが、これも時代の流れというべきだろうか。

新路線の「ランク付け」は行わず

新答申は既存施設の課題に対する方策が中心となり、過去の答申に比べ、新規の大規模プロジェクトの存在は小さくなった。とはいえ、新線や複々線化といったプロジェクトは目立つ存在だし、実際に関心も高い。これらが今後どのように扱われるかは、やはり気になるところだ。

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羽田空港アクセス線のルートの一部となる東海道貨物線の東京貨物ターミナル駅(左)。りんかい線の車両基地(右)も隣接しており、東京臨海副都心から羽田空港への直通も可能になる

新答申に盛り込まれた大規模プロジェクトは24路線。このうち、都心直結線や羽田空港アクセス線など8路線が「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」とされ、東京12号線(大江戸線)延伸部や多摩都市モノレールの延伸部など16路線は「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」とされた。

そのほとんどは、運政審18号答申で取り上げられたにも関わらず、目標年次の2015年までに開業、もしくは着手できなかった路線を引き継ぐ格好となっているが、一部の路線はルートが変更されている。また、都心部・臨海地域地下鉄(臨海部〜銀座〜東京)や都心部・品川地下鉄(白金高輪〜品川)など、新たに盛り込まれた路線もいくつかある。

一部のメディアは、「国際競争力の強化」の8路線が重要な事業に位置付けられたと報じたが、これは誤報といえる。前回の運政審18号答申では、路線ごとに事実上の「ランク付け」を行い、目標年次の2015年までに「整備すべき路線」「整備に着手すべき路線」と、「今後整備を検討すべき路線」の三つに分けていたが、新答申では「ランク付け」を一切行っていない。「国際競争力の強化」8路線と「地域の成長」16路線に、扱いの差はないのだ。

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