日経平均1万7000円回復は、もう無理なのか 4月の米雇用統計で見えてきたこと

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さて、米国の早期利上げに絡んだ円高是正の流れが難しくなった状況下、当面の日本株をどう見るべきだろうか?

主要な輸出企業の今年度の想定為替レートを見ると、1ドル110円、1ユーロ125円程度に設定する企業が目立っている。一部試算では主要輸出企業で前年度比1兆規模の減益要因が生じる見通しだ。個別の企業がすでに発表している想定為替レートでは、パナソニックが1ドル115円と現在の水準(1ドル107円)よりも8円円安に設定している一方、ファナックや三菱電機は、1ドル105円に設定するなど、微妙な違いがある。

また、先月のG20でルー米財務長官が、「日本経済が内需主導型の成長を取り戻すために政府が財政支援を行うべき」と提言したことは興味深い。今後は、補正予算の策定や、新成長戦略発表に加え、消費増税延期なども発表される可能性がある。

外国人投資家は、よほどのことがないと買いに動かない

残念ながら、現段階ではこれらの政策が外国人投資家を刺激し日本株が強い動きを示すとは思っていない。というのも、外国人は規制緩和など抜本的な改革を好むからだ。それでも、補正予算なら建設、消費増税延期なら小売(駆け込み需要剥落とのバランスを探る必要はあるが)、新しい成長戦略ならマザーズ、JASDAQの中小型株(AIやフィンテックなど)と関連銘柄への刺激材料とはなりそうだ。

とはいえ、日経平均株価を買い上げる外国人投資家の動きはしばらく期待できない。そのため、先物、オプション市場に余計な付加がかからないことから、5月の日経平均は、PER(株価収益率)15倍前後の価格で推移しそうだ。

つまり、足元の予想EPS(1株当たり当期純利益)は約1091円(5月6日時点)となっており、1091円×PER15倍=1万6365円。14.5倍だと1万5819円、15.5倍なら1万6910円。つまり、せいぜい上下1000円くらいと、トレードチャンスには欠ける静かな推移となりそうだ。もし、規制緩和など想定外の政策が打ち出され、外国人投資家が買いで反応した場合のみ、1万7000円台回復の可能性がある。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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