ディズニー、期待の再開発を「あえて」縮小? ファンタジーランドの大刷新はなぜ棚上げに
単独のアトラクションの枠を超えた、エリア全域の大規模開発――。その計画の中でも注目されたのが、ディズニーランドのファンタジーランドの大幅リニューアルだった。
同ランドは、「イッツ・ア・スモールワールド」や「白雪姫と七人のこびと」「ピーターパン空の旅」といった定番アトラクションを含むエリア。そこがどう刷新され、拡張されるのか。ディズニーランド開園以来の大規模リニューアルが予想され、ファンの間ではその中身の憶測が飛び交っていた。
しかし、ここに来てその計画は見直し。ファンタジーランドのエリア刷新は棚上げとなり、ディズニーシーでも「アナと雪の女王」アトラクションの新設が見送りとなった。なぜ計画は見送られたのか――。4月27日の決算会見でオリエンタルランドの上西京一郎社長兼COOが掲げた理由は、「環境の変化」だった。
当初の狙いは“ジャンプアップ”
「近年、入園者数レベルが当初の想定よりも早いペースで高まりを見せており、これまで検討してきた大規模開発に伴う工事期間中のゲスト体験価値への影響をより重視する必要が出てきた」(上西社長)
上西社長が説明したとおり、ランドとシーを合わせたディズニーリゾート全体の入場者数は高水準を維持している。2015年3月期の3137万人をピークにやや頭打ち感はあるが、それでも2014年3月期以降は年間3000万人超という高い水準をキープしている。
過去最高の入場者数を更新し続ける大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンと比べ、「負け組」と指摘する声もあるが、それまでの過去最高が2013年3月期の2750万人だったことを考えれば、決して低い水準とはいえない。
実は2015年に掲げた大幅リニューアルの計画は、3000万人への“ジャンプアップ”が狙いだった。当時、10年後の2024年3月期に向けて「入園者数を恒常的に3000万人レベルにする」と宣言。その目標が前倒しで達成できたことで、リスクを冒した大幅リニューアルを実施する意味が薄れてきた格好だ。
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