コカ・コーラ再編、「1兆円ボトラー」の衝撃度 "食えなくなった"飲料業界が動き出した

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統合を繰り返し、両社の売上高はコカ・コーライーストジャパンが5631億円、コカ・コーラウエストが4404億円(各2015年12月期)まで膨張した。この2社だけで、国内のコカ・コーラブランド販売の9割近いシェアを占めている。そしてこの両社が、統合に合意したのだ。

その背景にあるのが、ライバル飲料メーカーの攻勢だ。調査会社ユーロモニターによると、2006年時点の飲料シェアは、販売数量ベースでコカ・コーラブランドが27%と、2位以下に10ポイント以上の差をつけていた。

その後、スーパーやドラッグストアでの飲料の安売りが台頭すると、コカ・コーラの主力販路である自動販売機での売上が停滞。2015年にはシェアが23%まで低下し、2位のサントリー食品インターナショナルは6ポイント差の17%にまで迫った。

3位以下も、アサヒ飲料や伊藤園、キリンビバレッジが10%前後までシェアを伸ばし、国内飲料市場の競争はますます厳しくなっている。

ボトラー、容器業界の再編が意味するもの

コカ・コーラウエストの吉松民雄社長は「私たちと同様に、(飲料業界で)合従連衡が進むことを期待する」と語った(記者撮影)

人口減少に伴い、飲料市場が縮小の一途をたどる中、多くのメーカーがシェア向上のため、しのぎを削る。販売数量を追求するがゆえに安売り戦略に走り、販売促進費用がかさんで採算を圧迫。この悪循環から各社は抜け出せずにいる。

コカ・コーラのボトラー自身も、これまでの経営統合を通じて、規模拡大による情報システムの統一やサプライチェーン改革、間接部門の圧縮などコストの削減を続けてきた。それでも健全な市場環境には程遠い。

「私たちと同様に、何らかの形で(飲料業界の)合従連衡が進むことを期待する」とコカ・コーラウエストの吉松社長は言う。東西ボトラー統合の真の狙いは、規模の力によって稼げる体質に変えることにある。

日本コカ・コーラ側は今回の統合を「全面的に支持する」とコメントを出している。東西のボトラーが統合した場合、残されたボトラーは北海道、北陸、みちのく(岩手、秋田、青森)、沖縄の4社だけになる。

折しも、4月25日には飲料用容器を作る東洋製罐グループHDとホッカンHDが経営統合を発表したばかり。飲料業界の再編はどこまで続くのか。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(編集者・記者、マーケティング担当)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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