三菱自動車、燃費不正の先行きは視界不良 グループからの支援は難航も
さらに、共同通信などによると、三菱自が車体のデザインや内装を小幅に変更するマイナーチェンジの際、法令上必要な走行試験を行わず、机上の計算だけでデータをまとめて国交省に提出していた事例も判明している。
同社は販売の約9割を占める海外市場向けの車も調査することを決めた。燃費不正の影響が国境を越えて広がり、強化してきた東南アジアなど新興国での事業拡大にブレーキがかかる恐れもある。
日産、協業見直す可能性も
今回の不正は日産からの指摘で発覚。三菱自に代わって次期モデルの設計開発を担当する日産が昨年11月、現行車の燃費を試験したところ、走行抵抗値が国交省に提出されていた数値と明らかな開きがあったため、今年2月に両社で調査を開始。4月に不正が判明した。 日産は「現時点では提携関係に変更はない」(広報)としているが、同社幹部からは「三菱への不信感はもはや拭えず、関係を続ければ日産のイメージダウンにもつながりかねない」との声も漏れる。協業見直しや提携解消につながれば、生産拠点である三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)のさらなる稼働率低下を招きかねない。
燃費不正の対象車のうち、日産向けに生産している2車種は46万8000台と75%近くに上る。デイズは15年度の軽販売ランキングで3位に入る人気シリーズだけに、日産への補償は契約違反や販売機会損失などの点から高額になることも予想される。
懸念されている補償はこれにとどまらない。不正のあった車の実際の燃費がエコカー減税の対象にはならないことが確定した場合、同社は対象車を購入し減税を受けた顧客の追加納税分を全額負担する方針。さらに購入者には実際の燃費と不正値との格差に相当するガソリン代も支払う方向で検討している。