「FRBの利上げ、年内行われる可能性はない」

BNPパリバのFRBウォッチャーに聞く

4月7日、ニューヨークで歴代FRB議長による討論会が行われた。イエレンFRB議長(左)は、「昨年12月の利上げは誤りではなかった」とし、米経済は”合理的な道筋”を進んでいるという強気な見通しを繰り返した。写真中央はバーナンキ前議長、右はボルカー元議長(写真:AP/アフロ)
2015年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切ったFRB(米国連邦準備制度理事会)が次の利上げにいつ踏み切るのか、さまざまな観測が浮かんでは消えている。年初来の市場混乱の余波が影響し、3月に開いたFOMC(米国連邦公開市場委員会)の政策金利見通しでは年2回(1回あたり0・25%の利上げとすると)と下方修正された。FRBは今年、利上げに踏み切ることはできるのか。BNPパリバ証券の北米担当チーフエコノミスト、ポール・モーティマリー氏に聞いた。

 

――今年のFRBの利上げ回数についてゼロと見込んでいるとのことですが、随分と弱気ですね。

グローバル経済にダウンサイドリスクがあるからだ。マーケットが利上げを織り込み始めると、株価は下がり、ドル高になり、今年1月に起きたような金融市場のストレスが戻ってくる。さらに、今後数カ月先を見通すと、先進国経済の成長率は1.5%に減速し、世界経済全体で弱含むリスクがある。

――FRBの見通しはもっと強気にみえます。理由は何でしょうか。

ミネアポリス地区連邦準備銀行のコチャラコタ前総裁は「FRBは過去数年間、口先では強いことを言ってきたが、実際の行動はそれほど大したことはない」と述べている。FRBは金融危機の後、経済は元に戻っているというふりをしないと、消費者や企業の動きに水を差すことになる。つまり、「チアリーダー」のように、世界経済の旗振り役をしなければならないわけだ。

過去数年来、世界経済の成長率についても、インフレ率についても、FRBはずっと楽観的だったが、実際には達成できなかった。ここにきてそれが変わるとは思えない。

昨年の利上げは誤りだった

――FRBの世界経済に対する診断に、イエレン議長の性格が影響している可能性はあるのでしょうか。

リスクは非対称なものだ。もし利上げを遅らせて、インフレ率が想定よりオーバーシュートしたとしても、そこで利上げをすればよいだけの話。これに対し、利上げをしすぎて経済に水を差し、インフレ率が下がったときには、もはや手段がない。

議長の性格とかそういうものではなく、もはや手の打ちようがないということが、彼女を慎重にさせている。もし、このような形でインフレ率がどんどん下がり、デフレに突入すると、イエレン議長は後世にわたって「デフレのイエレン」と呼ばれることになるだろう。

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