不振ジャレコに集結、ライブドア人脈の謎
この「私どもの会社」が、EMCOM傘下の「FONOX」という会社。事件で職を失ったライブドアファイナンスのシステム部隊が設立したとの経緯がある。責任を感じた宮内元取締役が公判中に裁判所の許可を得て、中国まで出向き、徐氏にシステム開発の協力を求めた末に設立されたのが、同様にEMCOM子会社の「中国恒睿軟件開発(大連)(BestWiz)」だ。
関係者によると、これらLDゆかりの会社群とジャレコの接点は、宮内元取締役と親交があったジャレコ幹部がEMCOMにシステムを発注したことにさかのぼるという。06年11月にはEMCOM、FONOX、同じく子会社だった「EMCOM FINANCIAL」(EF社)や、宮内元取締役が代表を務める「EMCOM税理士法人」(旧税理士法人ライブドア)が、ジャレコ入居ビルの同じフロアに一斉に移転している。そうした関係の延長線で、今回のEMCOM買収となったようだ。
羽田社長誕生に一役買ったのも宮内元取締役だった。「いい人いない?」とジャレコ幹部から相談されたのを受け、推薦した結果だ。
「おかしなことしない」 信頼は勝ち取れるか
このように、ジャレコとLD、とりわけ宮内元取締役との関係は非常に深い。ゆえに市場関係者などにさまざまな憶測を呼んでいる。
そうした点に関し、羽田社長は「グレーも含めて、おかしなことは絶対にしない」と断言する。EMCOMは買収前、宮内元取締役が在籍していた子会社のEF社を資本分離。「迷惑をかけないように宮内氏も距離を置いた」(関係者)という。
羽田氏が描くジャレコ再建策では、現在残る事業のうち、ゲーム事業は人員を削減し、プロデュースに特化する。不動産事業は既存の老人ホーム賃貸と一部仲介事業に絞り込み、赤字縮小に努める。成長事業と位置づけるのはFX(外国為替証拠金取引)事業で、担当子会社のパンタ・レイ証券とEMCOMのシステム開発力を武器にする。「サービスプロバイダと技術力を組み合わせるのはかつてのLD証券の戦略と同じ」と羽田社長は話す。
LDは違法スキームに手を染めた金融事業以外には収益の柱を作ることができなかった。が、システム開発や運用能力への評価が高かったのは事実。ネット証券やFX、参入できずに終わった銀行事業のシステムを開発した精鋭がBestWizに合流しており、その力を活用することで、強みとしたい考えだ。ジャレコには役員以外でも、元武富士取締役、元トレーダーズ証券副社長などそうそうたる人材がおり、「きちんとした経営ができれば黒字化は可能」と羽田社長は力を込める。その言葉をどこまで実現できるか、だ。
(山田雄大 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)
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