円高で企業収益や物価はどのくらい下がる? シミュレーション!アベノミクスの正念場

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一方、消費者物価は2016年1-3月期まで押し上げ幅が拡大し、2016年4-6月期からその効果が減衰していく。さらに、各四半期ごとに為替レートの変動による前年比ベースの影響を見ると、消費者物価は2016年10-12月期にマイナスに転じるという結果となった。

当研究所では消費者物価(生鮮食品を除く総合)は2016年3月に下落に転じた後、しばらくマイナス圏で推移するが、原油価格が持ち直しを続けること、夏場までに円安基調に戻ることを前提に2016年末までにプラスに転化すると予想している。しかし、現状程度の為替水準が続いた場合には、2%の物価目標はおろか2016年度末までにプラスに転じることも難しくなりそうだ。

真価問われるアベノミクス

もちろん、円安に弊害があったのとは逆に円高にもメリットがある。たとえば、名目賃金が伸び悩む中で円安によって物価が上昇したため、実質所得が目減りし家計の生活は苦しくなった。春闘賃上げ率が前年を下回ることが確実となり名目賃金の伸びが加速することは当分見込めないが、円高によって物価が下がれば実質購買力の上昇を通じて個人消費の押し上げに寄与することも期待できる。

アベノミクスが始まってからほぼ一貫して円安が続いてきたため、円高で何が起きるのか未知数の部分も多い。最悪の場合には円安効果で改善してきたものがなくなるだけに終わってしまう恐れもある。アベノミクスは正念場を迎えるとともに、その真価が改めて問われていると言えるだろう。

 

 

斎藤 太郎 ニッセイ基礎研究所 経済調査部長

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さいとう たろう / Taro Saito

1992年京都大学教育学部卒、日本生命保険相互会社入社、96年からニッセイ基礎研究所、2019年より現職、専門は日本経済予測。日本経済研究センターが実施している「ESPフォーキャスト調査」では2020年を含め過去8回、予測的中率の高い優秀フォーキャスターに選ばれている。また、特に労働市場の分析には力を入れており、定評がある。

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