パナマ文書で人為的な課税逃れは防げるか 国際的な課税制度確立を目指す動きが加速

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とはいえ、「パナマ文書」の影響は、責任追及だけで話は終わらない。仮にこれまでは合法的な取引であったとしても、納めるべき税金を納めるべきところで納めていないことを見逃していては、税金を真面目に納めている納税者に示しがつかない。

各国当局は、「パナマ文書」を契機にさっそく国際協調に動き始めた。これまでにも、「タックスヘイブン(租税回避地)」対策として、国際的な協力を進めてきた。2013年6月の英ロックアーン・サミット(主要8カ国(G8)首脳会議)でも取り上げられたし、OECD(経済協力開発機構)やG20でも積極的に進めてきた。

中でも有名なのが、2009年に公開されたOECDタックスヘイブン「ブラックリスト」だろう。タックスヘイブンはどこか、というと今なおこのリストが引用されるほどである(ただし、厳密にはこのリストはもう古く正確ではない)。タックスヘイブンの統一的な定義はないが、このリストに載っている国・地域は、タックスヘイブンとみなされるようになった。

国際社会とタックスヘイブン問題

しかし、タックスヘイブンを目の敵にして、国際社会が、このリストに載っている国・地域に対して強烈な経済制裁等を加えたかというと、決してそうではない。

では、タックスヘイブン問題は、どのように解決しようとしているのか。解決しようとした主立ったポイントは2つある。1つは税務の透明性や情報交換の国際協調が不備である点。もう1つは所得税や法人税や資産課税が低税率であったり無税であったりする点である。「パナマ文書」が公表される前から、この2つに対しては解消に取り組んできたが、「パナマ文書」が公表された今日、前者は国際協調が進んだものの、一部に進展が遅い国・地域があり、後者は課税権という主権の発動がからむため解消は容易でないという障害に突き当たっている。

まず、税務の透明性や情報交換の国際協調が不備である点をみよう。この不備を改めることが重要なのは、タックスヘイブンを介して課税逃れを試みようとしても、その地で透明性高く税務情報を取られていたり、またその情報を知りたい当事国の税務当局が容易に入手できるようにしたりすれば、いざ違法な課税逃れが行われても、すぐに捜査できて取り締まることができるからである。

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