ソニーが84型「4Kテレビ」をお披露目、お荷物・テレビ事業は大画面・高画質で再建図るも前途多難

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ソニーは8期連続でテレビ事業の赤字が続いており、リストラを行っている最中だ。液晶パネル調達や間接費用の圧縮に加え、開発体制の見直しに伴うエンジニアの配置転換も進めている。今年5月には、年間販売台数を1550万台(前期1960万台)と、期初計画から200万台下方修正した。

が、足元の状況はさらに厳しさを増している。日米欧では販売台数が大きく沈み、中国では家電量販店が日本メーカーの製品のプレゼンスを下げているという。

平井一夫社長は2013年度のテレビ事業の黒字化を必達目標に掲げているが、リストラ以外にどのような挽回策があるかついては具体的に言及していない。テレビ事業を統括する今村氏は「テレビ事業は、大型化・高画質化に商品の軸足を移し、付加価値を高めて黒字化を目指す」と強調する。

今回の4Kテレビは大型・高画質のフラッグシップモデルとの位置づけで、「テレビの進化が続く以上、まだコモディティ化していない。ソニーは原点に立ち返ってクオリティとブランド力の向上を追求していく」と意欲的だ。

低価格テレビを大幅に絞り込み、高価格帯へと舵を切るソニーのテレビ事業。しかし、競合メーカーも同様に大型化、高精細化を進めており、価格競争に陥らない理由はどこにもない。テレビ事業は本当に黒字を実現できるのか。成算はまだ見えない。
(前田佳子 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

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