いまだ避難生活が続く福島・飯舘村のいま

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そんな風潮が漂うなかで行われるそごう柏の販売会だけに「今回はお客さんが来るだろうか」(佐野さん)という不安がよぎるときもある。しかし、手作り作業の仲間の1人である菅野ウメさん(82)は「それでも仕方がない」と笑いながら「岩手県などの仮設住宅に住む人たちは、冬になって私たちよりも寒い思いをしなければならないんだよ。そうした人たちに、売れなかった綿入れはんてんを届ければいいんだ」

よりよい製品を作るため、材料費をふんだんに使っている。無料で届ければ、コスト倒れだが、「綿入れはんてんは暖かいからな」と、他県の被災者のことをおもんぱかる。被災から1年半を経過しても、被災地の東北地方では、「震災問題」は微塵も風化していないことを痛感させられる言葉だ。

9月28日夕刻には、そごう柏への製品搬入のために、仮設住宅から10名の女性たちがそごう柏にやってくる。今回の販売会を契機に、風化を吹き飛ばして、さらに支援の輪が拡大することを期待したい。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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