一方、中国の対欧州投資は、政治的な象徴の域をはるかに超えている。欧州大陸の指導者たちは人民元の国際化や、周氏のような改革志向の当局者が実践している取り組みを強く支援している。彼らは、人民元のSDR加盟を経て、中国が資本勘定の自由化をさらに進めるよう期待しているのだ。
欧州各国の政府や中央銀行は、人民元を準備通貨として有効に機能させ、中国との貿易を増加させることにも非常に積極的だ。英国のオズボーン財務相は、ロンドンが人民元にとって最も重要なオフショア市場になって欲しいと明言してきた。2015年10月に習近平主席が国賓として英国を公式訪問した際、中国が海外初の人民元建て国債をロンドン市場で発行したのは偶然ではなかったのだ。
成否は中国次第
他の欧州諸国も乗り気だ。欧州大陸は人民元の銀行手形交換の一大拠点と化している。人民元取引のハブ市場がフランクフルト、パリ、ミラノ、ルクセンブルク、プラハ、チューリヒに出現した。欧州の中央銀行のほとんどが、人民元を資産に追加済みないしは計画中だ。2013年10月には中国人民銀と欧州中央銀行が、通貨スワップ協定を締結。その規模は中国にとってアジア以外では最大の450億ユーロに達した。
欧州側の盛り上がりとは裏腹に、人民元が現在、投機対象となって中国人自身からの信認も失いつつあるのは、残念なことではある。
欧州の取り組みが成功する可能性はある。ただ、中国がさらに広範な人民元へのアクセスを認めるとともに自国市場の開放を一段と進めない限り、失敗するのはほぼ確実だ。
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