中国の金融改革、狙いは「人民元のSDR入り」だ 米英両国への根回しも着々と進んでいる
10月22日、中国の李克強首相は米国のヘンリー・ポールソン元財務長官と、北京の中南海で面会した。李首相は途中で通訳を遮り、自ら英語で金融改革の構想を熱く語ったという。ポールソン氏は会談後、「中国は正しい方向に向かっている」と現地メディアに満足げに話した。
明けて23日、中国人民銀行(中央銀行)は、直近1年間で六度目となる利下げに踏み切った。預金と貸し出しの基準金利(1年もの)をそれぞれ0.25%下げ、1.5%と4.35%とした。預金準備率も0.5%引き下げ、大手金融機関向けでは17.5%となった。
その前週に発表された、今年7〜9月期の経済成長率は前年同期比6.9%。09年1〜3月期以来、6年半ぶりに7%を割った。
既定路線ながら、あえて「自由化」をアピール
中国の成長を牽引してきた投資が停滞している。鉄鋼や石油精製など重厚長大産業で過剰生産能力が積み上がっているうえ、不動産開発の抑制が重しになっている。
卸売物価指数は43カ月連続で前年同月比マイナスとなっており、企業活動の低迷は深刻だ。実質金利の上昇を緩和するため、利下げが求められていた。さらに流動性を供給するために預金準備率も下げて企業への融資を促した。
このとき中国人民銀行は、これまで基準金利の1.5倍までとしてきた、預金金利の規制を撤廃。人民銀行の周小川総裁は、3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)中にその方向性を示唆しており、それ自体は既定路線だ。預金金利自由化の結果、競争に敗れる銀行が出ることに備えて、5月には預金保険も導入された。
貸出金利は2013年に自由化されており、中国では金利が全面的に自由化されたことになる。ただ基準金利や窓口指導は残されているので、日本のような体制になったわけではない。あえて今回、「自由化」をアピールしてみせたのは、11月に予定されているIMF(国際通貨基金)の理事会をにらんだ動きだろう。
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