小麦粉による体の不調、理由は単純ではない グルテンを悪者扱いするのは早計だ

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

たとえば、一般的な食品の原料として使われる小麦グルテンは、アレルギー反応を引き起こす可能性がある。小麦グルテンは、複数の穀物を使用するパンのつなぎとして使われているほか、安価なタンパク質、優れた乳化剤・結着剤としてそのほかの食品にも広く使われている。そのほかの製パン添加物も反応を引き起こす可能性があるという。

一方、希望を与えてくれる調査結果もいくつかある。たとえば発芽穀物は、食べると苦痛を起こす人もいる複雑なタンパク質の消化を助ける可能性がある。発酵時間が長いものには、ある種の小麦過敏症を引き起こすタンパク質を分解する作用がある。

製パン法に問題がある可能性も

小麦とグルテンについての多くの疑問はいまだ調査段階にある。先ごろ米ワシントン州立大パン研究所による調査についての記事を掲載したマザー・ジョーンズ誌は、近代小麦そのものより、近代の製パン方法がより重大な悪影響を及ぼしていると報じた。定期刊行物イーティング・ウェルも「グルテンフリー・ブームの解明」と題するサム・フロマーツ氏の記事を掲載。記事は、同氏の著書「完璧なパンを求めて」と同様、小麦とグルテンを口にすることへの恐怖をめぐる複雑さを巧みに解説してくれている。

キシング・クーセクが今回発表したガイドは、すでに発表されている研究を地図のように描いてみせる。このガイドが示すのは事実であって、「ここに龍が住んでいる」と言ったおとぎ話ではない。彼女が訴えるのは、「原点回帰することによって、小麦やグルテンに関する疑問の答えが見つかるかもしれない」ということだ。

私は長らくこの150年間に開発されてきたパンの加工法を再び検証する必要があると訴えてきたが、キシング・クーセクの結論はまさしく私の考えと重なる。たとえば、この間に小麦をひくのにローラー製粉が導入されるようになったが、この方法では小麦に含まれるふすまと麦芽の胚種のほとんどが取り除かれてしまう。

一方、伝統的な石臼を使ってひいた小麦粉には、小麦という作物が持つすべての成分が詰めこまれている。石臼びきの小麦粉の「一体感」こそ、穀物が持つ力を発揮できるのはないか。実際、パン職人の中にはそう信じている人も少なからずいて、挽き立ての全粒粉だけを使う人もいる。

人々がパンと有効的な関係を模索する中で、グルテンについてさらなる「真実」が科学的に解明されることを期待している。

(Amy Halloran via Zester Daily and Reuters Media Express)
 

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事