小麦粉による体の不調、理由は単純ではない グルテンを悪者扱いするのは早計だ

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果糖やある種の炭水化物の総称である「FODMAPS」を消化するのが難しい。「こうした人々は、大量の乳製品、高果糖コーンシロップ、桃などの核果類、そして小麦を摂取すると、お腹が張ってガスが溜まってしまう。多くの食物がFODMAPSを含んでいるため、単に小麦グルテンを抜くだけでは症状は改善しない」とキシング・クーセクは言う。

ヒトツブコムギは有望か

非セリアック性小麦過敏症、過敏性腸症候群、果糖吸収不全症のような病気は診断が難しい。しかしほとんどの研究はグルテン・タンパク質や、そのほかの小麦の成分以外に複数の誘因があることを示している。

古代種の小麦はアレルギー反応が起きにくいと考える人もいるようだが、問題はそう単純ではないようだ。「すべてのタイプの小麦過敏症を軽減する完璧な小麦があるわけではない」とキシング・クーセクは言う。それでも古代種の一つ、ヒトツブコムギは、在来種及び近代種の小麦に比べてセリアック反応性化合物を少量しか含まないので有望だ。

ヒトツブコムギはもっとも早くから栽培されている主要作物の一つであり、エンマー小麦とスペルト小麦も古代種に分類される。ちなみに、1950年以前からある品種は在来種、それ以降は近代種と分類されている。近代種は茎が細く、肥料などの栄養分をより吸収しやすいという特徴がある。

異なる小麦品種間では、セリアックと小麦アレルギーへの反応はさまざまだ。しかし米国で使われている新旧の小麦品種の多くについては、小麦過敏症への影響は明確にされていない。欧州ではもっと多くの品種が調査されているが、自然のメカニズムを理解するのは一筋縄ではいかない。

グルテンが体内でどのように作用するのかを解明するのは困難だ。生育条件や品種がどのように作物の有害性に影響するのかを解明するのも難しい。加工方法が及ぼす影響についてはさらなる研究が必要だが、いくつか気がかりな点がある。

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