しかし、通信環境との断絶はいいことばかりでもない。旅の目的がしるこサンドを食べるだけだとしたら、あとは帰宅するだけなのだが、それではもったいない。どちらがメインの目的なのかは今となっては不明だが、「せっかく愛知県に行くのだし」と名鉄の乗りつぶしをして1日と半分を過ごそうとしていた。
4000円の「名鉄電車2DAYフリーきっぷ」を携えて、広大な名鉄路線に繰り出そうとしたものの、列車の詳細なダイヤが、手元の『小さな時刻表』では分からない。私鉄のページはあるものの、JRのように詳細な時刻が載っているわけではなく、始発と最終と「上記の間、約2~35分毎」というような、ざっくりとした記載しかない。
あらかじめ計画を立てない私も悪いのだが、どの路線から乗っていけば効率がいいのかわからない。駅のホームでいちいち次の列車の時刻を確認するという乗りつぶしになってしまった。
名鉄は有料の時刻表を販売しており、それを購入すればよかったのだが、見つからずこのようなことになってしまった。「乗換検索アプリ」が恋しくなったが、それを立ち上げてしまっては旅の趣旨が崩壊するため、ひたすら堪えた。
SNS投稿は「義務」になっていた?
1日目は空腹とともに切り上げ、予約した宿のある金山に向かった。金山で夜を過ごすのは初めてであるうえに、宿までの地図以外は特に情報はない。普段の旅では、口コミサイトで目の前の店の評判や価格帯を調べたうえで入店することもままある。今回は、目についたラーメン屋に飛び込んだ。名古屋名物の台湾ラーメンを食べたのだが、大正解だった。己(おのれ)の嗅覚に少しだけ自信が持てた。
地図を頼りに辿りついた宿でのこと。いつもならここで「その日の振り返り」を投稿しているところである。今回は早々と布団に入ってしまった。最初は「楽しいから」投稿していたはずなのだが、いつの間にか自分に課した習慣、あるいは義務になっていたのかもしれない。持参した大学ノートに何を書くでもなかった。
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