スマホ断ちで「人に見せるための旅」は卒業!?

「1日つぶやき50本」のSNS中毒者が“断食"

通信環境のない旅に行くと決めてから、実際に行くまでの1週間、私はドキドキしていた。SNSに投稿できなくなることに不安を覚え、まっさらな大学ノートとボールペンを用意した。何か書きたくなったらこれに、ということである。喫煙者が禁煙を始め、口寂しいからとガムを噛むようなものだ。

ちなみに、神奈川から名古屋駅までは東海道本線の普通列車で向かう予定を立てていたのだが、列車については普段から紙の時刻表で調べているため、スマートフォンがなくても何も困らない。もっとも、紙の時刻表にばかり頼っていることが後々響くのだが…。

さて、迎えた旅の朝。1時間の寝坊をした。当初乗る予定でいた東京発沼津行の列車に乗ることができなくなったのだが、前述のとおりの時刻表であらためて調べ直せばいいだけなのでどうにでもなった。ただ、寝坊をしたこと、そこからリカバリーを図ろうとしたこと、何よりもアクシデントも旅の楽しみであるということを投稿できないのは少し残念だった。

そして始まった1泊2日の旅行。平気だった。もっと「人さまの投稿が読みたい」、「ああ、つぶやきたい!」と思うものだと予想していたのだが、「見られないし、投稿できないものはしょうがない」で終始していた。なければないで平気なのである。語弊はあるが「その程度のもの」だったのかもしれない。

車窓は意外に飽きなかった

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慣れている東海道本線の車窓だが、実は飽きなかった(写真:Mt223 / PIXTA)

退屈するかも知れないと思い、カバンにはノートとボールペンのほか、文庫本を3冊詰め込んでいたのだが、不要だった。東海道本線は私にとってなじみのある路線で、何度となく往復をしている。東海道本線に飽きているだろうと思っていたのだが、なかなかどうして、十二分に楽しめた。

東海道本線の列車は名古屋に至るまでに何本もの川を渡っていく。普段なら、「今、何川だろう」と思う程度にとどまっているのだが、今回は、「この川はどのくらい澄んでいるのだろう」と、貼りつくようにして眺めた。ほかにもいちいち細かいことが気になったりしているうちに時間は流れた。普段私はこの路線に乗り、何を見ていたのだろうか。スマートフォンの画面を見ていたのだ。

名古屋に着いたあとは、名鉄に乗り換えて岩倉に行き、印刷しておいたバスの時刻表を頼りに無事、あんびすきゅいまで辿りつけた。いつもならば「こんなおもしろい店に来た!」と自慢の投稿をしていただろう。投稿をしなくても問題はなく、ただただ、しるこサンドの食べ放題を満喫した。

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