「フラガール」の常磐興産は被災企業支援の輪広がり営業益「復興」、次のテーマは「復配」
フラガール(上写真)で著名なレジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」を福島県いわき市で運営する常磐興産では、今夏の入場者数が想定を大幅に上回り、売上高、営業利益が大きく上振れする可能性が高まった。
今2013年3月期の業績見通しは、会社の期初計画によると売上高420億円、営業利益3.1億円、経常損益が4.5億円の赤字、純利益が3.7億円だった。その前提は主力のスパ事業の年間入場者数を日帰り客105万人、宿泊客30万人と想定したものだった。
しかし、同社の最大の書き入れ時である夏場の集客が想定以上に推移した結果、最新の年間入場者数見通しは日帰り客135万人、宿泊客37.7万人まで拡大。会社は9月7日、今期の業績見通しを売上高453億円、営業利益14.6億円、経常利益7億円、純利益15億円とする増額修正を発表した。東洋経済も会社の修正見通しを妥当と見ている。
夏場の入場者数が大きく伸びた理由は、団体客の集客がうまくいったことによるもの。常磐興産では、これまで夏場の主力客だった首都圏ファミリー客の戻りがいま一つであることを受けて、東日本大震災前にはあまり力を入れてこなかった夏休み期間向けの法人営業を、福島県内のみならず東日本で強化。その結果、被災企業でもある常磐興産を支援する動きが広がり、宿泊部門ではファミリー客の伸び悩みを法人客で補うことができたもようだ。法人などの団体客は宿泊料単価は個人客よりも安めであるものの、ファミリー客に比べお土産などを購入する比率が高いため、福島県産品を中心に物販が膨らむ傾向が大きいという。また、今年2月にホテル新施設として開業したモノリスタワーの単価が既存施設よりも高いことも、客単価の維持に寄与している。
もっとも、夏休み明けを待って、ホテル施設のうち老朽化した東館などの改修工事に取りかかり宿泊の稼働率が落ちるため、今下期(12年10月~13年3月)の業績は期初計画とほぼ同じレベルで落ち着きそう。