三井物産・三菱商事、「初の赤字転落」の深刻度

チリ銅鉱山で巨額減損、資源不況が商社直撃

会見場から去る三菱商事の小林健社長(写真中央)

世は資源価格が右肩上がりの時代。商社は優良な自社権益の積み上げを競っていた。周辺の資源権益を得るためには、プレミアムを払ってでも資源パートナーとの関係強化が不可欠だ。最終的に両者の和解交渉が進み、2012年8月末にアングロ・三菱連合がコデルコ・三井連合に対し、AAS株の29.5%を売却した。が、「三井・三菱の両天秤で価格を吊り上げられた」と、振り返る関係者は多い。

記者団から投資規律を問われると、三菱商事の小林健社長は、「経営は結果だが当時のデュープロセス(投資過程)は適切だった」と回答。三井物産の安永竜夫社長も「20~30年の計で競争力の高い案件に絞り投資してきた自負がある」と強調した。

5大商社の中で伊藤忠が頭一つ抜け出る形に

トップ2社が沈んだことで、5大商社の純利益は、非資源事業を軸に収益力を維持する、伊藤忠商事が頭一つ抜け出る形となる。

三菱商事と三井物産は、主要な資源案件が償却負担などを除いたキャッシュベースでは黒字であることから、今後も保有し続ける意向を示した。その一方で、「食料やBtoC向けを強化する」(小林社長)、「カウンターバランスになる非資源事業の収益力を高める」(安永社長)と、非資源分野の収益基盤の底上げを急ぐつもりだ。

金融緩和と中国爆食を背景に、資源バブルに踊った総合商社の成長戦略は、明らかに曲がり角に来た。事業構造の転換を早期に果たせるか、正念場を迎えている。

「週刊東洋経済」2016年4月9日号<4日発売>「核心リポート05」を転載)

 

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