スズキが軽で首位奪還を宣言、新型ワゴンRに賭ける思い
かつて軽自動車市場で不動の首位にあったスズキ。ところが、近年はダイハツ工業の後塵を拝し、2位に甘んじる状況が続いている。2005年度にスズキ32.1%、ダイハツ30.4%だったシェアは、翌06年度にスズキ29.8%、ダイハツ30.3%と初めて逆転。以後は、ダイハツがスズキを引き離し、11年度にはスズキ30.5%に対してダイハツ35.7%と、5ポイント以上の差がついた。
背景には、スズキが採算を重視した販売戦略に切り替えたことがある。自社で登録して中古車市場にいわゆる「新古車」向けに販売することを極力自粛。無理な値引きも極力控えた。実はトヨタ自動車が直近12年3月期の単体決算で4000億円を超える営業赤字を計上する中、スズキの単体決算は500億円の営業黒字。連結ベースでみても国内事業は稼ぎ頭である。
「その潮目が変わるかもしれない」。自動車業界関係者からこんな話が飛び出している。
「やはり1番でなくなるのは寂しい。気力、体力、知力を結集し、目の色変えなくては1位を奪還できない」。9月6日、スズキの鈴木修会長兼社長は、主力の軽自動車「ワゴンR」の新車発表会の席上、強い口調でこう語った。
今回の新型ワゴンRは、93年に初代を発売してから5代目に当たるモデル。これまでの累計販売台数は377万台に上る。累計販売の内訳は初代ワゴンRが90万台(93~98年)、2代目が106万台(98~03年)、3代目が109万台(03~08年)、4代目が72万台(08年~12年)とスズキにとっては「ドル箱」だ。