ブリュッセル連続テロは「IS弱体化」の証だ 西側は恐怖に負けず、断固たる抗戦を続けよ

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そして北大西洋条約機構(NATO)や欧州委員会が本部を置く都市として世界的に有名なブリュッセルでこうした事件が起きたことは、2001年の米同時多発テロ事件(9.11)を連想させる。

だが、アルカイダの一連の攻撃と、今回のブリュッセルでのISによるテロとの間には、注目すべき違いがある。9.11やマドリード、ロンドンでの事件を起こした当時のアルカイダは勃興期にあり、その破壊力が世界を震撼させていた。アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンは1998年のケニアとタンザニアの米大使館爆破など多くのテロを繰り返して米国の気を引こうとしたが果たせなかった。この状況は9.11により一変した。

ブリュッセルでテロの物証を押収する覆面警官ら(写真: ロイター/Charles Platiau)

パリでの同時テロ勃発の直前にオバマ米大統領は、西側によるシリアとイラクでの対IS作戦が成功を収めていると発言した。そして専門家の一部はパリでのテロについて、中東の支配地域縮小に苛立ったISが、武器を有効活用しやすい欧州に構成員を送り込んだと分析した。

裏にあるのが強さなのか弱さなのか、あるいは苛立ちなのか自信なのかという点は非常に重要だ。ブリュッセルのテロに西側がどう立ち向かうかに関するヒントになるからだ。

第一義的に、相次ぐテロに最前線で対処する法執行者は、何が起きているのか正確に把握すべきだ。そして犯罪者の広いネットワークを割り出して武器を押収し、今回の爆破テロの容疑者を逮捕しないといけない。

重要なのはひるまないこと

しかし、それだけではもっと大きな問題の解決は無理だ。ブリュッセルでのテロが、パニックに陥ったISの一部組織が絶望にかられ起こしたものなのであれば、適切な対応は恐怖ではなく、悲哀や喪失の念を抱くことだ。公的機関やメディアや役人や政治家は、不正確なものに屈して不安定で弱い感情に流されるべきはない。

瀬戸際に追い込まれているISは、破れかぶれになって今後、さらなる暴力に訴えるかもしれない。しかし、西側は内外でISへの圧力をかけ続けるのを思いとどまるべきではないのだ。

この世の現実として、そして恒久的な問題として、テロには絶え間ない警戒が必要だ。それ以上でも以下でもないのだ。

*筆者のカレン・J・グリーンバーグは米フォーダム大学法科大学院の国家安全保障センター理事で、テロや人権などの研究者。このコラムは彼女個人の見解に基づいている。

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