2009年上期 経済・政治・ビジネス書ベスト50--この秋に必ず読みたい珠玉の1冊
皆さんは一日に何冊のビジネス書が発売されているかご存じだろうか。答えは、「20~30冊」。売れ行きの悪い本は、早ければ1週間で店頭から消える運命にある。
こんな新刊本があふれる時代だからこそ、玉石混交の中から、「玉」を選び出してくれる水先案内人が不可欠だ。そこで、各分野で活躍する専門家と現場の書店員に、お薦めの本を聞いたのが今回のランキングだ。
2009年上期(08年12月~09年7月)に刊行された本を対象に、経済・政治・ビジネスの3分野から、それぞれ「ベスト経済書20」「ベスト政治書10」「ベストビジネス書20」を選んだ。 (→2008年のベスト経済・経営書 はこちら)
各分野で上位に並んだ本を見ると、三つのキーワードが浮かぶ。
一つ目は、フロンティア精神だ。
まず、経済書2位の『アニマルスピリット』(ジョージ・A・アカロフ、ロバート・J・シラー著)は行動経済学という新分野の知見を基に、経済メカニズムの解明を試みる。ビジネス書3位の井上理著『任天堂』は「ポストモノづくり」の最先端を突き進む日本企業の物語だ。
二つ目は、「過去の偉人に学ぶ」。
経済書1位の吉川洋著『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』は、2大経済学者の人生を振り返りながら、水と油と思われていた両者の経済学をつなぎ合わせる。ビジネス書1位の『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』は、経営の神様、松下幸之助が松下政経塾で行った説話のエッセンスをまとめたものである。
三つ目は、「常識を疑う」。
政治書2位の孫崎享著『日米同盟の正体』は、2005年以降大きく変容した、知られざる日米同盟の実像を描き出す。同じく政治書2位に輝いたエマニュエル・トッドの『デモクラシー以後』は、「自由貿易」という常識に疑義を呈し、「民主主義を守るため、保護主義を導入せよ」と説く。
この秋は、ぜひ珠玉の経済書・政治書・ビジネス書を読んで、自らの見識を深めてほしい。
■経済書 ベスト20
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