【産業天気図・化学】石化の在庫評価損軽減、電材も需要旺盛だが、先行きに不透明感
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
2009年度後半、10年度前半の化学業界は「曇り」が続く。
4~6月期(第1四半期)は、 石油化学事業で09年1~3月期に計上した在庫評価損が減ったうえ、電子材料も中国の家電補助政策の恩恵を受けるなど、各社ともに順調な出足となった。しかし、下期以降、急改善のシナリオを見込む各社の予想通りに推移するかは不透明だ。石化は海外勢の増設による需給悪化に加え、期初想定を越える原料ナフサ高が懸念材料。電材も中国による積極的な購買が息切れしてしまえばそれまでだ。
第1四半期の実績が会社想定よりも良かった会社は、ダイセル化学工業<4202>日立化成工業<4217>、日産化学工業<4021>、電気化学工業<4061>、日本カーバイド<4095>など(全て3月決算)機能性化学メーカーが中心となった。
背景には顧客である液晶パネル・半導体メーカーによる在庫圧縮の進展に加え、中国政府による「家電下郷」などの消費刺激策効果が発現したことがある。
日産化学工業を例に取れば、液晶表示用材料ポリイミド、半導体用反射防止コーティング材の出荷数量が上ぶれたことで、第1四半期終了時点で既に4~9月期の会社計画を超過達成した。同社は7~9月期(第2四半期)に定期修繕があり、農薬の不需要期にも当たるため、前四半期比反落する可能性はある。だが、最新の「会社四季報」秋号では、四半期損益が赤字になることは想定しづらいと判断し、上期、通期ともに独自に増額を行った。上記、他のメーカーも同様の理由で独自に増額修正した。