【産業天気図・化学】石化の在庫評価損軽減、電材も需要旺盛だが、先行きに不透明感
一方、石化を手掛ける総合化学6社(前08年度売上高順に、三菱ケミカルホールディングス<4188>、住友化学<4005>、旭化成<3407>、三井化学<4183>、昭和電工<4004>、東ソー<4042>、宇部興産<4208>)の業績も上向いてきている。第1四半期時点では依然大半が営業赤字を計上したが、高値在庫の払い出しにより評価損が軽減されたため、前四半期比では損益が大幅に改善。電材と同様、中国の需要増を追い風に汎用樹脂中心に輸出数量も伸びたことで、エチレンプラントの稼働率も回復した。
この勢いは持続するのか。電材は「いずれ反動減が出る」(日産化学工業常務理事・電子材料事業部事業部長の飯田勝氏)、「第1四半期時にオーバーシュートした分の戻りが下期出てくることを警戒している」(日立化成工業執行役専務の武田啓一氏)という声が既に聞こえてきている。石化でも「安心してみていられる状況ではない」(三菱ケミカル常務執行役員の吉村章太郎氏)と、慎重な声が大勢を占める。
いずれもカギを握るのは、熱を帯びている中国の勢いがいつまで続くか。中長期的には環境素材などで潜在需要の掘り起こしを行いながらも、目先は中国の動向に一喜一憂する展開が続きそうだ。
(二階堂 遼馬)
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