新宿に上陸!話題のカフェ「ヴァーヴ」の正体 最新サードウェーブは何が新しいのか

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焙煎所は、顧客にも、スタッフにも開かれている

そうしたブランド作りを行ってきたバー氏は、ヴァーヴは「すべての人に開かれたコーヒー」であるべき、と語る。

「製品やサービスだけでなく、ライフスタイルを提供するブランドは、強い。われわれもそうありたいと思います。 『サードウェーブ』という言葉は、米国でもコーヒー業界にしか浸透していません。またこれを標榜することで、多くの人々にとって敷居が高くなってしまいます。 おしゃれな人々だけでなく、すべての人に、最高のコーヒーとサービスが開かれているべきだと考えています」(バー氏)

新宿で目指すこととは?

ラテ

米国外では初出店となる東京、新宿。しかも、混雑が予想される改札口のすぐそば。ヴァーヴの本拠地である、サンタクルーズのアクティブとスローが共存する海辺の街の雰囲気とは正反対の地への出店だ。

バー氏はこれまで、「アジアで仕事がしたい」という希望があり、新宿出店は彼の夢の実現でもある。しかし、日本やアジア地域での出店を拙速に進めるつもりはないという。

「まずは、東京・新宿での成功を主眼においています。確かにサンタクルーズとは真逆の環境です。しかしこだわりたいのは、サンタクルーズと同じ『手作り』とホスピタリティですね。よく、手作りのコーヒーは遅いと言われますが、この概念を覆すのがチャレンジだと思っています」(バー氏)

バー氏は、寿司職人や優れたバーテンダーを例にあげる。彼らはカウンターやバーに座った顧客の眼の前で寿司を握り、カクテルを作る。手作りだが、無駄のない動きで、クオリティとスピードを両立している。新宿のヴァーヴで目指すのは、そうした姿だという。

「ハンドドリップのバーは8台用意し、テクノロジーの力を借りながら、2人で素早く提供します。忙しい人には、クイックカップとしてお出しする抽出済みのコーヒーは、鮮度が落ちないよう、少量ずつ抽出したものをご用意します。そしてカスタマイズしたエスプレッソマシーンも用意します。手仕事をスピーディーに。マジックが起きると期待しています」(バー氏)

ヴァーヴの日本での挑戦は始まったばかりだ。いくつものチャレンジと、守るべきブランドは、日本人にどのように受け入れられるのか。そしていつの日か、新宿からJR湘南新宿ラインに乗って1本でつながる、サンタクルーズと似た雰囲気の鎌倉や逗子への出店も夢見ているという。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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