スタバ代表「コーヒー以外にも挑戦したい」 関根純CEOが語る、日本のスタバの未来像(下)

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各地で出店を進めるスタバ。今後の成長戦略は?(撮影:尾形文繁)
米国本社の完全子会社となったスターバックス コーヒー ジャパン。米国本社との関係は以前とどう変わったのか?そして今後のスタバが目指す姿とは。関根純CEOのインタビュー後編をお届けする。

 

――TOBの後、米国本社の完全子会社となっている。ビジネス上の変化を感じるか

一抹の寂しさが無いわけではない。日本の上場企業であることは、ある種のステータスでもあった。が、それはあくまで一時の話。世の中の流れでいくと、必ずしも上場企業じゃなくてもいいと思う。

関根CEOと米本社との関係とは?(撮影:今井康一)

TOBを発表した去年の8月から今年2月の臨時株主総会が終わるまでは、この先どうなるかわからないという不安もあった。広報関係の対応や会計制度など、全部を米国に合わせなければいけなかった。社員が頑張って乗り越えることができた。

成長戦略においては、ビジネスの幅を広げていかなくてならない。グリーンエプロンを付けたコアのビジネスだけでは安泰とは言えない。やっぱり一つくらい違ったものをやりたい。

今までもさまざまなことにトライしてきたが、いかんせん、米本社からライセンスを与えられている状況では、限定的な形でしか認められなかった。例えるなら、おりに入ってもがいている状態。やりたいことがあっても、「あれもやるな、これもやるな」と言われてしまう。

米本社の傘下に入ってからは、急にかわいがられている(笑)。成長戦略を描く上では、色々な広がりを持つことができた。今までは本社からの情報開示も限定的だったが、他国のスタバの利益構造などが全部シェアされるようになっている。

好業績は米国のプレッシャーのおかげ?

――おりから出たことで、首輪がきつくなった面もあるのでは?

日本のスタバが数字的に貢献しているウエートは高い。これが悪ければ、きつくなることがあるかもしれない。現在は業績も順調なので、尊重してもらえるし、サポートも手厚い。日本人の繊細さや、お客様のシビアな目線など、日本の特殊性をすごく理解していただいている。

スターバックスはグローバルで商売をしている。それぞれの国や地域で米国流を押し切ったらとんでもないことになる。グリップする部分と自由にやらせる部分の使い分けをしっかりやってもらっている。

正直、大変は大変だ。向こうからのビジターもどんどん来る。今までは本社があるシアトルに行くのは年2回程度だったが、今年は2カ月に1回のペースで行っている。プレッシャーも強いが、それに応えていくことで成長につなげたい。

よく冗談で「日本の業績がいいのは、そっちのプレッシャーのせいだ」と本社の経営陣に言っている。すると「プレッシャーじゃなくてサポートだろ」って突っ込まれる(笑)。そういう冗談を言い合える環境にあるということだ。

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