【産業天気図・海運業】荷動き・運賃とも空前絶後の落ち込み、海運は09年度後半、10年度前半とも「土砂降り」続く
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
海運の2009年度後半は「土砂降り」、10年度前半も「土砂降り」が続く。
中国が鉄鉱石輸入を大幅に増やしたことや、オーストラリアやブラジルの山元(鉄鉱石採掘会社)が本格的に自ら船をチャーター(用船)し始めたことで、09年度前半は想定以上にバラ積み船市況が高騰したが、それ以外は想定外に苦戦。6月末までに在庫調整が完了すると見ていた自動車船は回復が10~12月期(第3四半期)以降にずれ込むほか、世界同時不況が尾を引き、コンテナ船は荷動き・運賃とも空前絶後の落ち込みだ。タンカー市況も先進国での需要陥没で大きく下落している。
今10年3月通期では日本郵船<9101>が23期ぶりの最終赤字に転落するほか、川崎汽船<9107>は23期ぶりの営業赤字に陥る。大手3社のうちで唯一最終黒字を見込んでいる商船三井<9104>ですら最終利益は吹けば飛ぶような300億円。07年度に記録した最高純益1903億円の6分の1以下だ。商船三井によれば、同社は他社に先駆けて中長期契約でバラ積み船を安く用立てておいたことで赤字を免れる。とはいえ、中国爆食で需要過多に沸いた海運バブルはいよいよ終わった感が強い。
バラ積み船は大型のケープサイズが下期に100隻も竣工。それを見越してか、一時9万ドル台をつけたケープサイズ市況は足元3万ドル台にまで落ちこんでいる。コンテナ船は向こう3年間、年率1割のハイペースで船腹が増える。タンカーも新造船ラッシュだ。船隊の供給過剰状態は解消されず、したがって運賃の本格回復も見込めない。海運会社にとっては、我慢、我慢の時期がしばらく続きそうだ。
(山田 雄一郎)
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