リーマン・ブラザーズ破綻から1年、真の教訓とは何か?
米中の貿易関係を見直すべきとの認識はある。だが、それをどう進めるかについての想像力が欠如している。両国の指導者は、心の底では、古いシステムに欠陥はあるが、現在構想しているシステムよりは優れており、少なくとも自らの任期中は、市場の信頼を回復させさえすれば問題は片付くと考えている。
リーマンの破綻から学ぶべき教訓は、国際金融システムの規制とガバナンスの大きな改革が必要だということだ。現在の政府出資により安全網を張る手法は、短期的には機能するかもしれないが、最終的には欧米の政府の債務を維持できないほどに増大させるだろう。
当面、アジアが欧米政府に対する資金提供者になるかもしれないが、それがいつまでも続くわけではない。最終的にアジアも自らの債券市場を発展させるだろう。そして、数年以内に西欧の政府は、大幅増税、インフレ、部分的な債務不履行、あるいはその三つの組み合わせを余儀なくされるだろう。
それに比べれば、今からファンダメンタルズ改善に取り組むほうがよっぽどましなはずだ。究極的に世界が必要としているのは、信頼に値する国際金融の規制とガバナンスのシステムなのである。
Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。
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