自民党は2013年まで生き延びられるのか--リチャード・カッツ
もし自民党が8月30日に行われる総選挙で敗北を喫した場合、次の衆議院選挙が行われる2013年まで、自民党は生き延びることができるだろうか。それとも、イタリアのキリスト教民主党のように自民党は分裂してしまうのだろうか。確率的にいえば、後者のシナリオになる可能性が高いだろう。
民主党が総選挙で大勝すれば、来夏の参議院選挙で単独過半数を得るため、民主党は与党としての地位をうまく利用できるだろう。その場合、途中で民主党主導の連立政権が崩壊しないかぎり、自民党は少なくとも両院の任期が満了する13年まで野党にとどまることになるはずだ。
与党から脱落し、自らの支持基盤にバラまく能力を失った自民党は、“陸に上がった魚”のようなものである。これまで自民党が長期政権を維持できた理由は二つある。
第一に、自民党は長きにわたり日本をうまく統治し、繁栄と安全をもたらした。ただし、バブル崩壊後は、その神話も崩れた。経済成長が止まり、複数の支持基盤を同時に満足させることができなくなっている。たとえば、老人のために社会保障を充実させようとすれば、都会の世帯に対しては、消費税増税を強いらなければならない。
第二に、自民党の国会議員は、自らの政治力を利用して、地元にうまく公共事業を呼び込んできた。しかし、経済成長が鈍化し始めたため、公共事業に充てる資金が少なくなっている。にもかかわらず、そうした状況の変化に、自民党は対応できていない。それゆえ私は、1990年代以降、自民党の没落は時間の問題だと感じていた。小泉時代の勇敢な試みでさえも、いずれ訪れる事態を先送りすることにしかならなかったのである。
もし自民党が4年間、予算決定過程から排除されれば、どのようにして支持団体の忠誠心を維持することができるのだろうか。結局、自民党の国会議員や地方議員は自民党を離党し、直接民主党に加わるか、もしくは、新しい小政党へ一時的に参加してから最終的に民主党に合流することになるだろう。もし自民党が13年の両院ダブル選挙まで生き残ったとしても、そこで敗北すれば、その後も存続できるか疑わしい。