旧・深名線は、国鉄時代から大変な赤字ローカル線として知られてきた。鉄道が廃線となった現在ではジェイ・アール北海道バスがほぼ同じルートの運行を担当している。
函館本線・深川駅を出発するバスは、全便が途中の幌加内ゆき(2016年2月現在)。しかし実際には同じバス・同じ運転士さんによって終点の名寄駅まで運行された。幌加内バスターミナルには、在りし日の深名線について知ることができる資料室も用意されている。
相当な豪雪地帯を分け入っていくため鉄路の痕跡をなかなか見つけ出せなかったのだが、注意深く車窓前方を見ていると、土木学会選奨土木遺産に認定された旧・深名線第3雨竜川橋梁が目の前に現れた。バスで名寄駅まで乗り通したが、大型のバスで運行されているからか乗客の数は心なしか少ない印象を受けた。
荒涼とした海沿いの旧・羽幌線
最後に、ひたすら荒涼とした日本海沿いの風情を楽しめるおすすめのショートカット・ルートをご紹介したい。旧・羽幌線ルートだ。
全長140kmを越す長大なこの鉄道路線も1987年に廃止・バス転換に。現在、沿岸バスが運行を担当している。同社は積極的にSNSを活用してファンを増やしているバス会社という印象。実際、私も乗車中のtwitterでのつぶやきにリプライをもらい、かなりテンションが上がった。ほんの些細なことだが、乗客に旅を楽しんでもらおうという気持ちが届いてくるのは嬉しいものだ。
宗谷本線・幌延駅を出発すると、荒く白波を立てる日本海を右手に見ながらただひたすら走り通して留萌本線・留萌の街までを結ぶ。西に面する海からの風が強く吹き、天候がコロコロ変わるのが印象的な路線だった。道中、車内ではずっとSTVラジオが流れていて楽しく旅することができた。
初山別バス停付近では、羽幌線時代の鉄道陸橋の遺構を発見、思わずカメラを向けてしまった。今にも向こうから列車がやって来そうだが、羽幌線の列車が最後に走ったのは30年近く前だし、これからも走ることはない。
長大バス路線であるため、途中休憩を挟みながら3時間近くも乗ることになる。ちょっとショートカットと呼ぶには違和感があるが、旅に「意外性」を与えるスパイスとして、新しい旅の楽しみ方の切り口とその可能性を感じてしまった。
3月26日の北海道新幹線開業で、北海道の鉄道旅は新たなシーズンを迎える。あたたかな日差しを浴びて雪が融ければ、そこに埋もれていた鉄路の痕跡が新たな旅人の訪れを待っていることだろう。そんな風に、季節を少しだけ早送りして想像を膨らませてみた。
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