最北端といえばおそらく、音威子府(おといねっぷ)駅から稚内駅までの間を結ぶ「旧・天北線ルート」ということになるだろう。
普通列車に乗って宗谷本線を北上していると、音威子府駅で長時間停車となった。出発までの時間をやり過ごそうと、味わい深い木造の駅舎内へ入り、グルッと見回してみると、黒い駅そばで有名な音威子府そばカウンターの隣に「天北線資料室」が併設されていた。
日本最北端の駅・稚内駅へ行く鉄道路線は、幌延・豊富を経由する宗谷本線ルートのほかに天北線という路線が存在した。JR化後の1989年に惜しまれつつ廃止され、バスに転換。その頃の写真や思い出の品々が資料館で大切に保管されている。壁に貼られた地図を見ると、天北線は北海道北部オホーツク側を走っていたルートであることがわかりやすく示されていた。
宗谷岬経由の長距離「ショートカット」
この旧・天北線ルートは現在宗谷バスが運行を担当している。鉄道時代から少しだけルートを変え、日本の最北端・宗谷岬を経由してくれるので観光的にもありがたいルート設定だ。途中に乗り継ぎを経て、音威子府駅~稚内駅を結んでいる。
しかし、残念なことに2016年10月にこの定期路線バスは音威子府駅~中頓別(なかとんべつ)間が廃止され予約制の乗り合いタクシーへと転換される予定とのこと。せっかく訪れたのでバスを待ってみることにした。
音威子府駅~稚内駅を通しで走るバスが存在しないため、音威子府駅併設のチケット売り場できっぷ(バスなのに硬券!)を手に入れしばし待つと、鬼志別(おにしべつ)行きの路線バスが来た。
出発の時点でも結構な積雪だったが、中頓別、猿払、鬼志別と北上するにつれ、救いようのない吹雪の雪道となっていく。列車と違って正直なところバスでの雪道は不安だったが、運転士さんは「いつものこと」と吹雪をものともせず定時運行。度胸の据わった運転には恐れ入った。
バスは日本の最北端・宗谷岬を巡って稚内駅へ到着し、鉄道以外での稚内到着を達成。まさにショートカットの旅でなければ得られない感動を味わうことができた。
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