マツダは本当にミニバンから撤退するのか 3列シート多人数乗りの位置づけを考える
軽自動車も似たような状況にある。マツダは軽自動車が現行規格になった1998年を境に、自社開発を中止し、スズキからOEM供給を受けている。
ミニバンについても、国外ではOEM(相手先ブランドによる生産)で対応している。インドネシアでマツダが販売している3列シートの「VX-1」という車種は、スズキ「エルティガ」と同型であり、軽自動車同様、スズキにから供給を受けているからだ。
自社開発を止める代わりに、OEMによってラインナップを保持するという手法も考えられる。ただし軽自動車と違い、ミニバンはほかの登録車と比較して選ばれる可能性もあり、それがOEMというのは、ブランド戦略としては違和感が出る。よって販売についてもミニバンから撤退する方向が妥当だろう。
ミニバン人気は低迷?
そもそもミニバンの人気は、それほど伸びているわけではない。かつてミニバンという言葉を生み出した北米では、同じ3列シートを持つSUVに押されて人気が低迷している。しかも北米市場で求められるミニバンのサイズは日本よりはるかに大きい。ホンダ「オデッセイ」のように、日本向けと北米向けを別設計としている例もある。
欧州では、メルセデス・ベンツ「Vクラス」など商用車派生のボックスタイプは送迎用などで一定の需要はあるものの、ルノー「エスパス」が築いた純粋な乗用カテゴリーは伸び悩んでいる。そのためエスパスは現行型で、タイヤを大径化し、車高をやや高めたクロスオーバー風デザインを導入することで、躍動感を演出し、巻き返しを図ろうとしている。
日本でもミニバンは、それほど伸びているわけではない。日本自動車販売協会連合会が発表した、2015年のボディタイプ別販売台数によると、ミニバン(セミキャブワゴン)は75万9155台で、SUVの38万3478台の約2倍の規模があるが、伸び率で見るとミニバンは前年比1.1%増で市場はほとんど拡大していないどころか、2012年は90万2715台、2013年は77万0541台だったことを考えると、この3年間で15%以上減少したことになる。
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