顧客データを品ぞろえに生かすローソン、データ活用で店頭の売れ筋商品も変わる
ここ数年コンビニ各社は、顧客の囲い込みを狙いとして、ポイント機能付きカードの拡充に力を注いでいる。そんな中、他社をしのぐ会員数を獲得しているのが、「ローソンパス」と「マイローソンポイント」を展開しているローソンだ。
会員数は約960万人。来店者数に占めるカード利用率は、全国平均で約2割に達している。
ローソンでは今、このポイントカードを単なる顧客の囲い込みの手段ではなく、カードの顧客データの中にある購入履歴などを活用して、商品発注の精度を高める試みに取り組んでいる。一部地方の店舗で試行中であり、今年9月より本格導入を始める予定だ。
「カード利用率が2割に達したことで、カード会員の購入履歴から、全体の顧客の購入行動を推測することが可能になった」と顧客起点推進ステーションPRiSM推進部の福田浩一部長は語る。
コンビニのオーナーにとって、日々の発注業務は廃棄ロスと機会ロスのリスクのせめぎ合いの中で行われる。そのため、これまでもコンビニ各社は発注精度を高めるために、POSデータを積極的に活用してきた。
確かにPOSデータからは、全国やエリアの売れ筋商品、自店の販売状況等を確認することができる。しかし同じエリアでも、立地によって客層が異なるため、売れる商品も店舗ごとに違いが出る。そのため各店舗は全国やエリアの売れ筋商品情報を“参考レベル”にとどめながら、商品を発注するしかない。
またPOSは過去データである。新商品の売り上げ予測については、メディアへの露出や、類似商品を販売したときの経験から推測することとなる。各店舗の経営を支援・指導する立場にあるスーパーバイザーも、「オーナーに新商品の推奨をするときに、必ずしも客観的な情報に基づいて行ってきたわけではなかった」(東北ローソン支社スーパーバイザー・弓場成朗氏)と語る。