片務性が著しいフランチャイズ契約、加盟店の権利と本部の義務を明確化させる法整備が必要
本部側は、競業禁止の目的は「ノウハウや加盟店を守るため」(B専務)と言う。だが、今年3月9日に出された東京地裁判決では、フランチャイズ契約終了後における競業禁止規定が、一定の場合においては公序良俗違反として無効となることが示された。同判決はいくつかの理由を挙げているが、うち二つを示してみよう。
(1)本部が加盟店に提供した営業ノウハウは、競業が問題になった時点では秘密性と有用性を欠き、保護に値する程度がごくわずかである。
(2)競業禁止により保護されるフランチャイザーの利益が、競業禁止によって被る旧フランチャイジーの不利益と比べて社会通念上是認しがたい程度に達している。
いずれももっともな理由だ。
では、どうしたらいいのか。
問題は立場が強く情報が豊富な本部側が、立場が弱く情報も知識も乏しい加盟者に一方的な契約書を提示している点にある。消費者を保護する法律はかなり整備されてきたが、フランチャイジー保護の法整備はまったく手つかずだ。FCを健全に育成するためには、フランチャイジーの権利とフランチャイザーの義務を明確化させる立法が必要だ。
(福永 宏 =週刊東洋経済)
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