ハリウッドで活躍する“アラサー"日本人たち《ハリウッドフィルムスクール研修記3》
トップクリエーターもハリウッドで武者修行
逆に日本での地位を保証されながらも、会社を辞め、ロサンゼルスで武者修行している日本人クリエーターもいます。塚越規さん(29)は映像プロダクション大手「東北新社」のCMディレクターを経て、今年独立。東北新社在籍中は、ソフトバンクや明治製菓といった大手広告主のCMを監督してきました。年間約40本のCMを撮ってきた、売れっ子クリエーターです。
フリーになる人が多い業界であるとはいえ、30歳を前にしての独立はかなり早いと言えるでしょう。突き動かしたのは、「いつかは最高の舞台(=ハリウッド)で映像を作ってみたい」というモチベーションだと言います。
今年春からの半年間、将来必要となる英語の習得を目指して語学学校に通うとともに、ロサンゼルス・ニューヨークの大手CMプロダクションに自らを売り込むため営業活動を行っています。
また、それだけに飽き足らず、現地で知り合った米系広告代理店からの製作依頼をうけ、外国人スタッフを従えてショートフィルム演出も果たしました。その米系広告代理店の社内コンペで、世界中のトップクリエーター500人近くから応募があった中から、トップ10入りを果たすなど、早くも世界への足がかりを作り始めています。
気負わず、謙虚がハリウッド流
3人に共通して言えるのは、「気負いのなさ」。ロサンゼルス在住の日本人と話していると、時に異国で働くことへの決意が痛いほど伝わってくることがあります。それがしばしば日本の否定につながり、自らの「日本人的なもの」を否定している人を多く見ます(日本人同士にもかかわらず、英語交じりの日本語で会話しているような人はそのような傾向が強く見られる気がします)。