実録サブプライム危機 P・ミュオロ/M・パディラ著/可児滋訳
アンジェロ・モジロは、イタリア移民の肉屋の息子に生まれ、雑用係から住宅ローン一筋45年、3人で始めた会社を「マーケットに参入したらそれを独占せよ」を身上に、全米一に育て上げた。が、2008年初め、1年前の時価総額250億ドルがウソのような悪夢に襲われる。手塩にかけた「子ども」を二束三文でバンカメに身売り。自身も議会公聴会に身をさらす。
本書は、全米一のサブプライムローン業者カントリーワイドの創業者でありCEOであるアンジェロ・モジロを軸として、サブプライム危機がどのように発生し、「ゴミ」をばらまき、それが世界経済を震撼させるに至った事実経過を、多彩な人物を配して記録する。
臨場感溢れる描写が重ねられる。住宅ローン業界や投資銀行界のトップ、規制当局、公聴会などに加え、証券化商品開発者にも緻密な取材を敢行しているからだ。デリバティブに詳しい訳者の手によって、その入門書ともなっている。
日本評論社 2940円
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら