赤字転落に社長交代、IHIに何が起きたのか 最高益予想から3度も下方修正、ついに赤字へ
過去最高益予想から3度も下方修正、7年ぶりの最終赤字へ──。
総合重機大手IHIが業績の下方修正を繰り返している。複数の工事でトラブルが相次いだことが原因で、「緊急事態」への対応として2月22日、社長交代を発表した。
4月1日付で満岡次郎(みつおかつぎお)・取締役常務執行役員が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格。斎藤保社長は最高経営責任者(CEO)を兼任したまま会長となり、2頭体制で立て直しを図っていく。
今期の造船・重工業界は、損失ラッシュとなった。三菱重工業は大型客船建造工事で前期に続き530億円の追加損失が発生。川崎重工業もブラジル造船事業で221億円の損失を計上した。
四半期ごとに業績を下方修正
業界大手で巨額損失が相次ぐ中でも、IHIの業績悪化ぶりは際立つ。2015年5月に公表した2016年3月期の期初の純利益予想は490億円。好調な航空エンジン事業が牽引、3期ぶりに過去最高益を更新する見通しだった。
ところが、2015年8月の第1四半期決算発表時点で早くも予想を100億円引き下げたのを皮切りに、四半期決算を発表するごとに減額幅が拡大した。
今年2月の3回目となる下方修正では、ついに300億円の最終赤字に転落することになった(右図)。
原因は3つある。まず、愛知工場で進められている資源掘削船建造工事が、発注元からの度重なる設計変更要請で遅延した。
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