よくわかる!歴史から読む「トランプ旋風」

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こうした草の根保守の気持ちを反映したのが、「孤立主義」(モンロー主義)です。ヨーロッパや中東、東アジアで戦争が起きようが、関係ない。アメリカは米国の道を行く。その代わり、外国からの干渉も一切受けない。

トランプは、「米国が日本や韓国を守っているのに、彼らは米国を助けず、クルマを売り込んでくる。これはフェアじゃないぜ!」と発言しましたが、実はこういう発言が、「草の根保守」の琴線に触れるのです。

共和党の基盤である「福音派」って何?

次は④「福音派」です。アメリカ合衆国は基本的に移民によってつくられた国なので、アメリカ大陸に渡ってきた順番によって階級があります。

もともと、ピューリタンといわれるイギリスの新教徒の一派が迫害されて大陸にたどり着いたのが、アメリカの始まりです。メイフラワー号で渡った102人を「ピルグリム・ファーザーズ」(巡礼の父祖)といいますが、彼らは米国に自分たちの信仰を実現する理想国家(=神の国)を作りたかったのです。

彼らの考えは「正しいキリスト教を、米国にあまねく広めなければならない」というもの。ここでいう「正しいキリスト教」というのは、ピューリタンの信仰です。「欲望を避けて質素に暮らし、一生懸命働くことが、神のご意思である」という信仰です。

したがって、彼らは神のご意思を実現するためにピュアに暮らし、アメリカ大陸を清めるため、先住民を「一生懸命に」追放したのです。

このピューリタンがさらにいろんな宗派に分かれていくのですが、それらに共通するのは『聖書(福音書)』の教えを絶対と考え、これに反するものを排斥しようとするメンタリティです。彼らは妊娠中絶を罪と考え、同性愛を罪悪視します。

このような人たちを「福音派」とか、「宗教右派」と呼びますが、彼らも共和党の強固な支持基盤です。ビリー・グラハムというカリスマ的なテレビ伝道師は、歴代アメリカ大統領の就任式で祈りを捧げるほどの影響力を持っています。

今回の予備選挙では、共和党の候補者にテッド・クルーズという人がいます。テキサス州選出の上院議員で、不法移民排除などトランプとは政策が重なっているのですが、この人が強烈な「福音派」です。

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