逆風にあえぐ地方鉄道、高速値下げが大打撃、フェリー・高速バスも苦戦《鉄道進化論》
ウォーキングを目的に関西からバスが20~30台来る石川も「能登の旅館に1泊すれば、能登有料道路や白山スーパー林道の片道料金を無料にしている。能登島水族館や和倉温泉への観光客は間違いなく増えた」(石川県庁)とほくほく顔だ。
高速道路延伸がJR直撃 旅客増へ反撃策も乏しい
守勢に立たされるのはJR。景気後退や新型インフルエンザの影響もあり、どの程度が高速値下げによるものか限定するのは難しいが、JR各社は新幹線の低迷などで4~5月は旅客が1割以上の減少ペースだ。
もともと四国や九州は鉄道より自動車で移動したほうが合理的だ。四国を例にとると、高速道路の総延長と鉄道輸送量がものの見事に逆相関になっている。
GWの旅客数が前年同期比11・2%減だったJR九州は、高速道路への対抗策として、九州新幹線の全通後は博多-鹿児島中央間1時間20分の速さを挙げる。大阪から熊本まで3時間強、鹿児島まで同4時間となれば「自動車利用との競合は限定的では」(JR九州)と期待する。開業までは回数券や週末限定割引、通勤割引といった施策で魅力向上を図るが、遠方からの観光客の誘引力には乏しい。新車両「さくら」の咲く日を待ち望む日々が続く。
JR四国は観光客の掘り起こしのため大阪方面の旅行会社を訪問、観光素材作りに取り組む。域内向けにはホテルと組んだ日帰り旅行割引「あじな散歩道」のほか、都市への通勤・通学需要を取り込むべく、特急定期や定期券保有者向けの特急回数券を企画している。地元在住者は「四国内の都市を回るのでなく、本州など四国外へ出ることを旅行と考える人が多い」(矢田栄一・営業部担当部長)ため、関西や東京旅行向けに割引切符も販売するが、JR四国への貢献はわずかだ。