「民・維合流」で漁夫の利を得るのは共産党だ 野党共闘によって存在感が増している

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志位委員長が国民連合政府構想をぶちあげたのは昨年9月19日で、参院本会議で安保法案が可決され、安保法制が成立したその日である。そして次期参院選で1人区の候補の原則取り下げを発表したのは、民主党の岡田代表と維新の党の松野代表が合流を決定した2月22日だった。いずれも野党共闘を共産党がリードしているかのような印象を与えるタイミングだ。

この「1人区原則取り下げ」は共産党にとって大きな目玉としたかったようで、志位委員長はわざわざ党本部で会見を開いている。日経新聞は2月12日の朝刊ですっぱ抜いたが、小池晃政策委員長が同日の会見で、「このような事実はない」と否定。日本共産党中央委員会の植木俊雄広報部長が日経新聞社を訪れ、抗議するとともに訂正を申し入れている。

ただこうした厳しい姿勢は「極秘にしていたことを報道機関に抜かれた」という腹立たしさよりも、「話題作りのひとつ」と解するべきかもしれない。少なくとも共産党の一挙手一投足は、メディアの注目を集めている。

共産党の議席はどうなるのか

それにしても1人区の独自候補の多くを取り下げて、共産党は議席数を減少させないのか。共産党は組織政党ゆえに比例区選出の議員が多いが、彼らの票を支えるのは選挙区の票だ。選挙区で候補を立てるか立てないかで、その地域での党名の浸透度が異なり、票数に影響する可能性があるからだ。

だが近時の共産党の躍進で、それを埋めて余りある効果が期待できるとも見てとれる。共産党は複数区で独自候補を擁立するが、2013年の参院選で議席を獲得した東京、大阪、京都の各選挙区では確実、神奈川、埼玉、愛知の各選挙区でも有望と見られている。さらに注目すべきは、香川県選挙区だ。

共産党は県常任委員で青年学生対策部長の田辺健一氏を公認。若さをアピールする34歳の候補擁立は、東京都選挙区の吉良佳子氏、大阪府選挙区の辰巳孝太郎氏を当選させた2013年の参院選の戦略そのものといえる。しかし田辺氏の場合、吉良氏や辰巳氏の場合よりも積極的な「攻め」に出ている。

現在のところ香川県選挙区では、民主党の公認候補は不在のままだ。それを奇貨として、田辺氏は県内の連合組織を訪問という「電撃戦略」に打って出た。共産党の候補が連合の組織に挨拶に行くのは前例がない。これには民主党の関係者は驚愕したが、「挨拶に来たいという連絡があった。挨拶に来るというのだから断る理由はなかった」と受け入れたという。

これを機に、共産党は次期衆院選でも野党共闘によるいっそうの飛躍を狙っている。25日の会見で、志位委員長はこう言っている。

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