「民・維合流」で漁夫の利を得るのは共産党だ 野党共闘によって存在感が増している

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「まずは1人区での選挙協力をきちんとした上で、衆院の選挙協力をやっていきたい」

そのやり方は、「総選挙においては、一定のギブ&テイクの原則で選挙協力」するとした上で、「直近の国政選挙の比例区代表の得票数を基準」とする。狙いは穀田恵二国会対策委員長の京都1区だ。2014年の衆院選では84歳(当時)の不破哲三共産党前中央委員会議長が演説を行い、穀田氏は5万3379票を獲得した。共産党の最重点区である。対抗馬は自民党の伊吹文明前衆院議長だが、伊吹氏と同じ二階派所属だった京都3区の宮崎謙介氏が女性タレントとの不倫発覚で議員辞職したため、自民党は補選に候補も立てられない状態だ。

共産党はさらに、生活の党と山本太郎となかまたち(以下、生活の党)や社民党とのパイプも太くしつつある。

「私たち日本共産党が社会民主党の大会にご招待いただき挨拶するのは、日本社会党時代を含めて今日が歴史上初めてのこととなりました。大変嬉しく、また光栄に存じます。これからますます親しくお付き合いさせていただきたいと思います」

社民党定期大会で起きたこと

2月20日に都内で開かれた第15回社民党定期大会で、志位委員長は満面の笑みをうかべてこう挨拶した。会場からは明るい笑い声と拍手が沸き起こった。この大会に来賓として出席したのは、民主党から枝野幸男幹事長と維新の党からは今井雅人幹事長。だが共産党からは志位委員長と生活の党からは小沢一郎共同代表が出席し、社民党との連携に対する意気込みの強さを見せつけた。

さらに会場ではこんな光景も見られた。来賓として招かれた志位委員長は小沢代表の隣に座っていたが、志位委員長に続き挨拶することになっていた小沢代表が、演説台に向かおうとした時に志位委員長の肩をぽんと叩いたのである。これを見た共産党関係者はこう述べた。

「あれは小沢代表から志位委員長への親しみを込めたメッセージだ」

実際にその隣の席にいた維新・今井幹事長の肩には触れてはいない。小沢代表が提唱する「オリーブの木構想」は共産党をも含むもので、「国民連合政府構想」と重なるところが多い。さらにいえば、こうした構想は1998年から存在した。その中心になったのが小沢代表と不破氏。小沢代表と不破氏は1969年初当選の同期で、交流があったという。

民主党と維新の党が作る新党に、社民党や生活は呼びかけられているが、共産党は呼びかけられていない。それでも、野党再編の重要な黒子の役割を共産党は果たすだろう。党名も変えず、綱領も変えず、議席だけを増やせるのなら、共産党がその恩恵を一番受けることになるはずだ。
 

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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