鉄道のサイバー攻撃防御態勢は万全なのか 外部だけでなく「内部」からの攻撃も課題
2020年の東京オリンピックに向けて、テロ攻撃に対する警備をどうするかが大きな課題となっている。鉄道の世界でもサイバー攻撃をどう防いでいくかについて、議論が始まっている。
2月上旬、都内で一般財団法人・運輸政策研究機構が「東京を支える鉄道・航空におけるサイバー攻撃の脅威~2020年に向けて~」というシンポジウムを開催した。その中では、サイバー攻撃の脅威から交通機関をどう守るか、どこから攻撃されるのか、といったことが議論された。
鉄道はテロ攻撃の対象になりやすい
そもそも鉄道は、コンピュータシステムが存在する前から攻撃の対象となっていた。明治時代、東京と大阪の間に鉄道を敷設する際には、東海道経由か中山道経由かが大きな論争となったが、中山道経由が候補となった理由のひとつに、攻撃を受けやすい海沿いを避けるという防衛上の理由があった。
鉄道はそれ自体が巨大なシステムであるため、テロリストから見ると、国の威信を傷付けるのに格好の攻撃対象となりやすい。
実際、1995年には地下鉄サリン事件が起こった。オウム真理教の信者たちが地下鉄の車内でサリンを散布した事件で、営団地下鉄(現在の東京メトロ)の各線では、列車の運休や被害の大きかった霞ケ関駅を通過させる措置を取るなど、運行に大きな混乱が生じた。
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