エコ景気刺激効果は失速へ、需要を先食い、迫る2番底の恐怖
6月19日、晴れて補助金の申請受け付けが始まったことで、ようやくエコ商戦が本格化したと言える。スタートダッシュは好調のようだ。日産サティオ千葉でもこの“Xデー”を見越して先行受注を積み上げてきた。昨年6月前半の実績と受注ベースで比較すると人気車種セレナは2倍の勢いで増えている。コンパクトカーのノートも20%増、キューブは昨秋のリニューアル効果もあって70%増。価格帯が高めのティーダやエクストレイルは苦戦ぎみと「まだら模様ではあるが、減税と補助金の効果は確実に出ている」(サティオ千葉の鈴木社長)。
13年超車の保有者についても、「25万円も安くなるならば」と自ら来店するケースが増えてきたという。「燃費の面でも安全性の面でも、新しいクルマのほうがいい。減税や補助金だけでなく、総費用ベースでのお得感を遡及していく」(同)。
先行した“成功事例”もある。日本と同じく自動車産業が国の屋台骨を支えるドイツでは1月、低燃費車への買い替えに2500ユーロ(約30万円)を補助する制度を導入した。この補助金の効果で、販売台数は09年2月以降、前年同月比2~4割増の水準に一気に上昇。想定車数を当初予定の60万台から200万台に引き上げるなど順調だ。
日本政府や自動車工業会は、補助金制度による09年度の需要押し上げ効果を69万台、エコカー減税と含めると100万台とはじく。実際、6月の登録車国内販売は前年比13・5%減と、11カ月連続マイナスながら減少幅が縮小。効果が出ているようにも見える。
ただ、10年3月末まで1年間の時限措置(4月10日まで遡及適用)であることもあり、需要の先食いにすぎないとの懸念は消せない。一方、軽自動車は補助金の絶対額が少ないために、6月は前年同月比16・2%減と登録車より減少幅が大きくなった。エコの面では超優等生であるにもかかわらず何とも皮肉である。エコポイントと同様、消費行動をボラタイルにしているだけなのかもしれない。